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第66章「嫉妬に狂う祝勝会」

リヴァイアサン襲撃事件が無事解決し、数日たった頃、アーベント学園の1年2組の教室でケイは帰りのホームルームでお別れの挨拶をしていた。


(ケイ)「みんな!2週間という短い間だったが今日で俺は最後だ!ありがとな!」


窓ガラスから夕陽が差し込む中、ケイが少し寂しい表情でそう伝えるとクラスの雰囲気は一気に騒がしくなる。みんなケイにやめて欲しくなかったようだ。そんな中コウがケイに質問する。


(コウ)「せ、先生!!やめちゃうんですか?!」

(ケイ)「俺は騎士だからな!教員になったのはお前らのスカウトできたんだ!」

(ラナ)「ス、スカウト?!?!」

(ケイ)「ああ!俺はサンセットホープズになったばかりでまだ自分の部隊ができてないんだ!だから騎士学校に優秀な人材をスカウトしにきたわけだ!」


ケイがそう説明すると、生徒達は興奮した様子だった。絶対ケイの部隊に入りたい、そう願う生徒ばかりだった。


(ガイ)「せ、先生!俺先生の部隊に入りたいです!お、お願いします!!」

(男子生徒1)「おい!きたねーぞ!俺も入りたいです!先生ーー!」

(女子生徒1)「あ、あなたはロイに憧れてたでしょ?!」

(男子生徒2)「あの津波から多くの民を救い、伝説のリヴァイアサンを最後に討ち取った英雄に憧れない人なんていないだろう?!」

(女子生徒2)「超イケメンでサンセットホープズの中でも最強と名高いケイ様の部隊……きゃああ!絶対入りたい!!あわよくば……」


そんな騒がしい空気の中、ケイは生徒達に優しい表情で伝える。皆静かにその内容を聞くのだった。


(ケイ)「卒業まであと1年か……みんな優秀だからな。もし望むならみんなには是非来年俺の部隊に入って欲しい!一緒に最強の部隊をつくりあげようぜ!」


ケイがそういうとクラスに多くの喜びの声があがった。これで40人が1年後ケイの部隊に入ることが確定したのだった。



時刻は18時。日はすっかり沈み、夜空に月明かりが照らす中、ケイは1人でリヴァイアサン討伐の祝勝会が行われる夕陽処に向かって歩いていた。今日はどうやら貸し切りらしい。そんな中フィオナから電話がきたのだった。


(ケイ)「もしもし!フィオナか?わりーな!こっちは少し遅れそうだ!そっちはもう夕陽処に着いたのか?」

(フィオナ)「了解!こっちはついたわよー!!そういえば今日で教員は最後だったわよね!どうだったのよ?!」

(ケイ)「ああ!それがな!来年クラスの40人全員がうちの部隊に入ってくれることになった!!」

(フィオナ)「ほ、本当に?!やったわね!!じゃあそれも祝わないとね!!」

(ケイ)「はは!そうだな!!今日は祝勝会楽しもうぜ!!」

(フィオナ)「うん!!」


それからケイも集合時間に10分ほど遅れた後に夕陽処に到着する。店内に入るといつもの笑顔でミマ=キャロルが出迎えるのだった。


(ミマ)「ケイ!お久しぶり!!もうみんな席にいるわよ!案内するね!」

(ケイ)「ありがと!!」


店内は10分しか経っていないというのに、祭りのように賑やかだった。皆騎士は席をたち歩き、乾杯を交わしていた。そんな中ケイが席を案内されたのは、タイガとフィオナがいる席だった。


(ケイ)「わりーな!遅れちまった!!」

(タイガ)「おうおーう……!おせーぞぉぉ!ケイぃぃ!ひっく……」

(ケイ)「うわっ……もう酔ってやがる!」

(フィオナ)「お疲れ様ー!ケイ!!見てよ!タイガったらちょっと飲ませただけでこれなのよ!」

(ケイ)「……何杯飲ませたんだよ?」

(フィオナ)「えっ?トラモントエール12杯だけど?」


ケイは顔を青ざめる。フィオナは酒豪である。そんな人のペースに合わせればこうなるのは必然だった。


(ケイ)「おまっ!たった10分で12杯のませたのかよ?!」

(フィオナ)「飲み放題なのよ?12杯なんて普通じゃない!」


そんな中酔って無敵なタイガは店内に響く声でケイにある質問をする。


(タイガ)「そういえばよぉぉー?ケイぃぃ!アイリスとは付き合ってるのかよぉぉー?!」

(ケイ)「へっ!?」

(フィオナ)「つ、付き合ってないわよ!!というか付き合うことは今後ともないから!!」


タイガの一言に沢山の騎士がこの席に群がる。その中にはアイリスとシルファもいた。アイリスは顔を真っ赤にしながら大声をだす。


(アイリス)「タ、タイガ!フィオナ!な、なんでこんなところでその話するのよ!!」

(ジョーカー)「なーに面白そうな話してるんだよ!!俺も混ぜろー!」

(グレン)「たしかにその話は気になるね!」

(サイ)「そうだな!元上司と部下の禁断の恋愛……アイリス様!ご説明を!!」

(ケイ)「サ、サイさんってこういうキャラなんですか……?」

(アイリス)「し、試合でのは勢いで言っただけだから!!違うんだから!!」


アイリスは焦りすぎて自分でも何を言っているのかわからなかった。そんな中アスカが核心をつくような質問をする。それは純粋で無邪気な子供だからこそ聞けるものだった。


(アスカ)「えっ?じゃあケイさんのこと好きじゃないんですか?」


この質問に周りの空気は一瞬静まり返る。そんな中アイリスはケイの方をちらっとみた後、また目を反らし、顔を赤くし照れながら静かに答える。


(アイリス)「…………好きよ。ばか。」

(ケイ)「っ!!」


その瞬間みな興奮した様子で悲鳴をあげる。


(ルナ)「きゃああ!!」

(クルミ)「か、可愛いです……!アイリス様可愛いすぎます!!」

(タイガ)「うぉぉー!!ケイ死ねぇぇー!」

(アロン)「お、おい!タイガ!そんな言い方ないだろー!……ケイ!100回死ねぇぇー!!」

(ウル)「はは!青春だね!」

(ジュリー)「フィオナっ!」

(フィオナ)「な、なんですか?」

(ジュリー)「どんまい!!」

(フィオナ)「ちょ、ちょっとーー!」


そんな会話の中アクアはシルファをみる。シルファは静かににっこりと微笑んでいた。表面上は。だがアクアは気がつく。シルファが左拳を強く握りしめていることに。


(アクア)「シ、シルファ……あ、あんた大丈夫?」

(シルファ)「何がですか。」


シルファはにっこりとしながらアクアをみる。その表情にアクアは不気味に感じる。


(アクア)「あ、あんた目が笑ってないわよ……」

(シルファ)「いえ何も気にしてませんから。」

(アクア)「ほ、本当に……?」

(シルファ)「いえ何も気にしてませんから。」

(アクア)「シル……」

(シルファ)「いえ何も気にしてませんから。」

(アクア)「……」


アクアは思った。シルファのケイに対する独占欲はやばすぎると。そんな空気の中、さらにアスカが火に油を注ぐようなことを言う。


(アスカ)「そういえばアイリスさん!カーラ橋でケイさんにキスしてましたもんね!!大人です!!」

(アイリス)「……へっ?!ア、アスカぁぁーー!!」

(騎士達)「キスぅぅーーーーーーー!?!?」


子供とは恐ろしいものだとアクアは感じた。そしてその言葉を聞いた時、騎士達は今日一の盛り上がりを見せる。


(ジュリー)「ア、アイリス様がキス?!?!ウソぉぉー?!」

(タイガ)「ケイ!きっさまぁぁー!!1人だけ大人の階段を上りやがってぇぇー!!」

(ケイ)「も、もう勘弁してくれ……」

(グレン)「はは!カーラ橋とはロマンチックだね!」

(ルナ)「ケ、ケイとキス……ちょっと羨ましいな。」

(フィオナ)「な、なんでルナまで顔を赤めるのよ!!ダメだからね!!」

(サイ)「月の王だけあって、夜の帝王でもあるのだな。」

(アロン)「結局顔なのか!!顔なのかぁぁーー!!」

(ウル)「人の価値は顔じゃないさ!!」

(騎士達)「お前にだけはいわれたくねぇぇーー!!」


アクアはシルファを再びおそるおそるみる。その表情を見てわかった。このあとの2次会は大変なことになるだろうと。


こうしてお祭りのような祝勝会は20時すぎまでつづくのだった。




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― 新着の感想 ―
YAMATO様 先日は拙作のご感想を頂きまして誠にありがとうございました。 YAMATO様の英雄は夕陽に輝く君のために拝読させて頂きましたので感想を残させて頂きます。 最初の印象は、Reゼロみたいな…
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