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第108章「雷帝の輝き~ジョーカーVSゼファー~」

時刻は21時。トラモント王国で最も栄えた中央部ではジョーカーとゼファーが激戦を繰り広げていた。


「ゼファぁぁぁぁーー!!!!」

「邪魔をするな!!ジョーカぁぁーー!!!」


ジョーカーの電撃を纏った銃弾がゼファーを襲う。だがさすが元騎士の頂点、サンセットホープズの一員であったゼファーに対して一筋縄にはいかなかった。バリアで弾き返したのだった。


「ちぃ……!!さっきから全然攻撃が届かねぇー!」

「ジョーカー……この程度の攻撃なら俺のバリアがすべて反射するだろう。」

「うるせぇーー!勝負はここからだぁ!!これならどうだっ!!ライトニングっ!!レインっ!!」


ジョーカーは攻撃の手を休めなかった。銃口を天に向けて撃ち、空に放った弾丸が雷雲を呼び込む。そして降り注ぐ無数の雷撃として地上にいるゼファーを襲うのだった。


「雷撃の雨か……だがっ!グロリアスっ!!リフレクタぁぁーー!!」


先ほどのバリアよりはるかに強度の高いバリアがゼファーの身を守る。それをみたジョーカーは目を見開き感情的になる。


「くっそっ!!本当に相変わらずウゼーバリアだぜっ!!」

「ふっ……ジョーカー。お前は一度たりとも俺には勝ったことがなかっただろう?!……お前の攻撃……そのまま利用させてもらう。カウンターっ!リフレクションっ!」

「っ?!」


バリアに電撃が反射し、ジョーカーに向かう。まさか自分の攻撃がそのまま自分にかえってくるとは思わなかったのかジョーカーは一歩たりとも動くことができなかった。その結果まともに直撃する。


「があぁぁぁぁぁぁっーー!!!!」

「ほう……タフだな。」


ジョーカーは全身から流血させながらも、なんとか立っていた。鋭い眼差しでゼファーを見つめた後、言葉を口にする。


「俺は負けねぇ……国民の命がかかってんだ。」

「デス・トマトのことか?お前はこの技がどんなものかわかっているようだな。」

「なんでだ?なんでこんなことをする?!」

「なぜ?……むろん世界を変えるためだ。この世はエネルギアによる差別と欺瞞に満ちている。だからこそ平等な世界にするため一度リセットする必要がある。」

「牢獄にぶち込まれても全然反省してなかったみたいだな!救いようがないぜ!」

「あきらめるつもりはない。俺は自分の信念を突き通す!……おしゃべりがすぎたな。ジョーカー……俺の野望成就のため、これで死ぬがいい!ミラージュ・ジャッジメント!」 


ゼファーは月と星の光を自身の生み出したバリアに集め、その莫大な光を一気にジョーカーに向かって放出する。直撃すれば死は免れないであろう。だがここでジョーカーはゼファーの予測を反する行動をとる。ニヤッと笑みを浮かべ叫ぶ。


「お前の最大火力の攻撃を待っていたっ!!!!!ゼファー!!お前の弱点は他人の技は反射できても自分の技は反射できないことだぜ!!俺もお前の攻撃を利用する!しかも倍返しだ!!」

「!?」


ゼファーの攻撃が直撃する直前、ジョーカーは自身の身体を帯電させる。そしてゼファーの光線攻撃を吸収、さらに拳銃を向け、最後に雷を纏わせながら放出するのだった。


「一度限りの大技!!!!!ライカガエシっ!!!!!」

「な、なんだとっ!?!?……ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!!」


自身が放ったミラージュ・ジャッジメントの攻撃が倍以上の力となってゼファーに直撃する。それはまさに一撃必殺のカウンターだった。ゼファーは身体を焼き尽くされ前方へ倒れる。意識はもうなかった。


「……か、勝った……みたいだな。……くっ……」


ジョーカーもライカガエシの反動で激痛のあまり仰向けに倒れ、そして呟く。


「……肉を切らせて骨を断つとはよく言ったものだ。もう二度と使いたくねぇ……それにしてもデス・トマトの結界が消えねーじゃねーか……まずいな。力がもうはいんねぇ……。」


ジョーカーが勝利に喜ぶ一方で自分の無力さに、精神的に折れかけていた時だった。




『ジョーカぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!!』




意識が朦朧とする中、自分の名前が呼ばれることに気づく。一人ではなかった。沢山の声がした。横になりながらもその方向を向く。そこで見たのは走りながらこちらに向かってくるケイ達をはじめとする多くの仲間だった。ジョーカーは不敵な笑みを浮かべる。


「……ケイ……お前のミカヅキの羽で……結界を……」


この光景をみて安心したのかジョーカーは最後にこう呟き、そのまま気絶する。その後ジョーカーの意図を察したケイが急いでデス・トマトの結界を破壊したのは言うまでもなかった。こうして東西南北、そして中央部のシャドウナイトとの戦いはトラモント王国騎士団側の勝利となる。結界が解除されたことで中央部では喜びの声に満ち溢れる。誰もがこう思った。やっとおわった。平和を取り戻したと。

だが現実は残酷だった。このときはまだ誰もが知らなかった。真の悪夢のような最終決戦が今まさに始まろうとしていたことに。そう。あの伝説の闇の巨人が目覚めようとしていた……

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