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第103章「師弟の絆」

「その青い炎……まさか炎のエネルギアの極地の『神炎』が使えるなんてね……あなた何者なの?」

「……俺はロイ=フェニックス。……アトラス。お前を拘束しに来た。」


アトラスは先ほどの一撃を防いだロイを見て、表情が変わっていた。一瞬でこれまでの相手とは格が違うのがわかったのか警戒した様子だった。アトラスは再び戦闘態勢に入る。


「……っ!!自信満々ね。その余裕に満ちた表情、焼き付くしてあげるわ!ふふっ……これは防げるかしら……?舞い踊りなさい!獄炎鳥!!」


アトラスは少し距離を取りながらも右手を前につきだし、マグマのエネルギアでできた巨大な鳥を生み出し放出するのだった。凄まじいスピードでロイを襲う光景を見て、ロイを心配したのかウルは叫ぶ。


「せ、先生っ!危ないっ!!」

「大丈夫だっ!アビス・フレイム・エッジ!!」


ロイは獄炎鳥に向かって、巨大な青い炎の斬撃を放つ。お互いの技が衝突。凄まじい爆発と共に、煙が舞う。煙で何も見えないはずだが二人はお互いの位置がはっきり分かっていた。今度は剣による接近戦だった。


「へぇ…あなたもできるのね。超難易度高い技なのに。」

「相手の位置を把握する体温感知のことか。人間の体温はこのあたりの空気の温度と明らかに違うだろ。」

「まぁ……あなたなら当然…っね!!!」

「やるなっ……重い一撃だっ!!だがっ…!!はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


接近戦は全くの互角だった。互いに致命的な一撃を与えられない状況が数分続いた後、ロイとアトラスは距離をとる。ロイはアトラスと向き合いながらも、後方にいたようやく立ち上がったばかりのウルに尋ねる。


「ウル!奴は強い!だからお前の力を借りたい!お前のあの技頼めるか?!あの技なら奴を確実に倒せる!」

「あの技……はっ!」


ウルはロイ部隊にいたころを思い出す。たしかにあの技なら…そう思いロイに確認する。


「先生……8分稼げますか?」

「ああ!時間なら俺が稼ぐ!頼む!」

「はい!わかりました!」


ウルは目をつぶりエネルギアを集中する。そんなウルを見てアトラスは何か仕掛けてくることに気づき、ターゲットを変える。アトラスはウルに向かい攻撃を始めたのだ。


「くたばり損ないがぁぁ!灰になりなさい!焔狐顕現!」


アトラスがそう叫ぶと同時に巨大な炎の九尾狐の幻影を顕現させる。そして狐の尾がマグマの津波のようにうねり、ウルを襲う。


「やらせねーよ!ブルー・ファイア・ウォールっ!!」


しかし読んでいたかのようにロイがカバーに入る。ウルを襲う技は青い炎の壁に阻まれるのだった。

アトラスは苛立ちを露わにする。


「ロイ=フェニックスっ!!!!」

「邪魔すんじゃねーよ。お前の相手は俺だろ。」


その後ロイとアトラスは極限の集中力を発揮しながら戦闘を繰り広げる。お互いダメージを与えるも炎のエネルギアを持つもの同士、決定打にはならなかった。五分五分の戦いにアトラスに焦りが生じる。ここまでの強敵がいるとは思ってもいなかった。その結果一瞬の隙が生じる。ロイはその隙を見逃さなかった。


「見えたっ!クリムゾン・ケージ!!!」

「し、しまっ........!!」


この技により炎の檻にアトラスは閉じ込められる。今で7分。残り1分を稼ぐにはもってこいの技だった。残り10秒のタイミングでウルが前に出る。どうやら準備ができたようだ。


「はぁ……はぁ……残り10秒......よしっ!ロック解除っ!!ウル!!!!いけぇぇぇぇーーー!!!!」

「はいっ!いきますっ!!!これが俺の切り札!エターナル・コールド・ファイアぁぁぁぁぁーー!!」

「そんな氷の技っ………!な、なんですって!?!?」


アトラスがマグマのエネルギアを発動し、溶かそうとすればするほど不思議なことにアトラスの身体がみるみる凍っていく。そう。この技は炎に反応し逆に凍らせるものだった。


「あ、ありえないわっ!!!そ、そんなことっ……!!い、いやぁぁぁぁぁーー!!」


アトラスの身体全身が凍結される。もう彼女の意識はなかった。この瞬間勝者は決定したのだった。ロイはウルの頭にポンと手を置き、感謝の言葉を口にする。


「よくやった……」

「先生……」

「しっかしあの技もともと俺を倒すための技だったんだろ?恐ろしいな!ははっ……!!絶対にくらいたくねーわ。」

「こんな形で役に立つとは思ってなかったですけど……でも前に先生の部隊にいてよかったです!」

「だろっ!?」


ロイはウルにニヤッとさわやかな笑顔を見せる。この日初めてロイはウルを自分と対等の一人前の騎士と認めたのだった。

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