表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/128

第100章「冷静と情熱の間 」

「……さてと休憩したし、一仕事しますか。」


エミリアはメイメイとの戦いに勝利した後、しばらく地面に仰向けになり身体を休めていたが起き上がる。それから気絶したシャドウナイトをエネルギアの能力を封じる力をもつ巨大な拘束具でまとめて捕らえるのだった。


「本当に便利ね。この拘束具。発動させるだけで400人も一気に拘束できるなんてね。」


敵の兵士を拘束し終え、少し経った頃、味方の女騎士達は眠りから次々と覚めていく。みな戸惑いと羞恥に溢れた表情をしていた。そんな中いつまでも幸せな夢の中に居続ける少女がいた。フィオナである。


「……ケー……ちゃ……ん……ダメっ♡」


恥ずかしい寝言を言いながら、一向に起き上がらないフィオナに対してエミリアは近づいていき、目を反らしながら見てはいけないものを見たかのような顔をしながら声をかける。


「ね、ねぇ……フィオナ!戦いはおわったわよ?ねぇ起きて!起きてってば!」

「……あん♡……い……いじわる……」

「ちょ……さ、さっきから何こんなところで変な声出してるのよっ!?ねぇフィオナってば?!起きて!お、起きなさーい!!!」


エミリアは恥ずかしさのあまりフィオナに向かって大声で叫ぶ。その甲斐があってかフィオナはゆっくりと意識をとり戻すのだった。


「…………あ、あれっ……?」

「もう!やっと起きた!メイメイ倒したわよ!」

「………………えっ……?」

「いやだからあんた寝てたの!!早く現実に戻ってきなさい!」


フィオナは辺りを見渡し、次第に状況を理解する。メイメイの技を受けてから、ずっと寝て夢をみていたことに。そしてフィオナは恥ずかしさのあまり、これ以上ないくらい顔を真っ赤にして、最大の声のボリュームで悲鳴をあげるのだった。


「きゃあああああああああああああああああああぁぁぁぁーーーーー!!!!」


----------------------------


「無限のつららよ!敵を打ち倒せっ!インフィニティセリオン!!」

「いっくわよー!!その拳は海の輝き!!スプラッシュ!!フィストぉぉーー!」

「無限の水鳥よ!!華麗に羽ばたきなさい!ブルーバードぉぉーー!!」


時刻は17時半すぎ。トラモント王国の北部でも騎士とシャドウナイトの間で熾烈な戦いが繰り広げられていた。騎士団の中でも最前線に立ち、部下の士気を高めるのはウル、レイラ、アクアの3名である。この北部では特にトラモント王国の騎士団の中でも選りすぐりのエリートが多く選抜されている。その理由はシャドウナイトの最高戦力の2人、シモン・カラカセビッチとアトラス=シャウナがいるからである。トラモント王国の歴史の中でももっとも死傷者が多かったとされる『夕陽事変』の首謀者であり、大犯罪者とされる彼らに対して生半可な戦力では太刀打ちできないのは自明の理であった。そのためチームジーニアスはこの部隊の編成に関しては特に時間をかけたようだ。


「おっそい!!そんな単調な攻撃が私に当たると思ってるの?!はぁあああっ!」

「ふふっ!レイラやるわね!私も負けてられないわ!」


そんなこの戦いで今のところ圧倒的な力を見せつけているのはアズーロ姉妹である。アクアとレイラは姉妹ということもあり、お互いに考えていることがなんとなくわかるのだろう、抜群のコンビネーションである。それぞれの持ち味を遺憾なく発揮していた。一方この活躍を見たウルは少し悔しかったのか珍しく熱くなる。


「っ!!やるねっ!二人とも!じゃあ俺も今日は本気でいかせてもらおうか!!『アイス・エンペラー』の二つ名は伊達じゃないことを証明してみせるっ!!いでよ!氷河の剣よ!グラキアリスセイバぁぁーー!!」


ウルはとあることに誇りがあった。それはケイ部隊の中でも絶対的なエースとしてみられていることである。ナンバーズ・ワン……それはケイ部隊最高戦力の中でも最強の称号。だからこそ思う。誰よりも戦場において輝かなければならないと。


(ケイ……君は必ず歴史に名を残す大英雄となるだろう。だから俺はこの部隊最強の騎士として、君にとってもっとも頼りになる存在になりたいんだ!!)


そう思いながらウルは鬼神のごとく、単独で次々と敵のシャドウナイトを倒していくのだった。


----------------------------


「ねぇ……シモン?そろそろ私達の出番じゃないかしら?」

「アトラス。お前はただ人を殺したいだけだろう?」

「あらっ?バレてたの?でも脱獄したからには暴れたいじゃない?それに結構苦戦してるようだし。」


少し戦場から離れた場所で、戦いを眺めていたカップルはシャドウナイト最高戦力の2人、シモンとアトラスである。シモンは年齢は30代中盤といったところであろう、鈍色の短髪に、冷たく鋭い眼差し、落ち着いた雰囲気を持った男性だった。一方同じ鈍色でロングのパーマヘアが特徴であるアトラスは歳はシモンとさほど変わらないが、女性であることを強調した露出の多い服を着ていたため妙に若くみえる。


「……もう少し様子をみたかったが、やむを得ないか……たしかにこちらが少し押されているようだ。おそらく敵の中でも別格なのがいる。……先頭で味方を率いたあの3人……氷使いと水使いか。」

「ええ。あの3人さえ倒せれば、こちらの勝利は確実ね。どうする?シモン?」

「相性的には俺が水使いの女2人、アトラスは氷使いの男がいいだろう。」

「ふふっ!相変わらずの徹底的なまでの合理主義者ね。そういうところも好きよ。」

「ふっ……決まりだな。行くぞ!アトラス!」

「りょーかーい!」


こうしていよいよウル、アクア、レイラはシャドウナイト最高戦力の2人、シモンとアトラスと戦うことになるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ