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第99章「決着!エミリアの『自己暗示』」

「うっわぁぁ……スッゴいわねぇー!この女の夢!あんなに喘ぎ声を出しちゃって……気持ちよさそうね♡まるで獣みたいじゃない!絶対目を覚ますことはないでしょうねぇー!」


メイメイはイヤらしく妖艶な笑みを浮かべながら、白い建物の壁に投影されたフィオナの夢についてそんな感想を言う。エミリアはというと顔を真っ赤にしながら今みている投影から目が離せなかった。


(す、すごっ……フィオナってあんなにえっちだったのね……し、しかも相手はケイって……)


エミリアが羞恥のあまり自身の口を両手で押さえながら目を見開き、しばらくの間言葉を失っている一方、メイメイは口を開く。


「アッハぁ♡エミリア!私は男が大好きでねぇー、タイプの男がいればよく眠らせて誘拐してたわぁ。でもね個人的に夢に関しては男の夢より女の夢の方が好きなの。なんでだと思う?」

「キモいわねー!そんなの知らないわよ!!」

「そ・れ・はぁ女は恋愛脳だからよぉ♡男の夢は恋愛だけじゃなくて金や地位、名声とか色々だけど女の夢はシンプルなの!恋愛!最愛の人に愛されセッ◯スすること!どんなに猫を被っていても、女はほぼ100%セッ◯スの快楽に溺れる夢をみるわぁー!だから私は女の夢が好きなの!人の隠された性欲を知ることは私にとって最高の趣味だわぁ!」

「……っ!!」


このメイメイの人としての尊厳を完全に踏みにじるような趣味にとうとうエミリアは我慢の限界を超える。メイメイに向かって冷めた眼差しで静かに宣言する。


「メイメイ……あなた本当に人間のクズね。あなただけはこのまま野放しにはできないわ。」


この言葉に対して、メイメイは失笑と共にこう答える。それはエミリアをバカにしたかのような声音だった。


「……ふふっ……きゃっはっはっ!!野放しにできないってあなたに何ができるっていうのよぉ?!さっきも言ったけど精神干渉系の能力者同士の攻撃はお互い耐性がある以上、意味をなさない……つまり私達の戦いはエネルギアに依存しない純粋な力で決まるわぁ。」

「……!!」

「安心して?勝負は一瞬でつくから。なぜなら私は肉弾戦もこう見えてかなり強いの。だから直ぐに楽にしてあ・げ・る♡」


メイメイはそう言うと、エミリアに向かって凄まじい速度で懐に接近する。そしてエミリアは腹部に強烈な蹴りをくらった後、地面に転がっていくのだった。


「がはっ………………!!!」


想像以上の威力にエミリアは血を吐きながら、しばらく立つことができなかった。


(この女……!!エネルギアがなくとも強い!?)


エミリアがそんなことを思う一方、メイメイは不敵な笑みを浮かべながらエミリアを上から見下ろし、口を開く。


「私の能力は発動まで結構時間がかかるってさっき言ったの覚えてるわよねぇ?つまりそれまでの間は無防備になるの。だからその弱点をカバーするため私は様々な格闘技を身に付けたわぁ。どう?こう見えて私は努力家なのよ?ふふっ!!」

「……い、意外と脳筋なのね。」

「戦場で生き残るにはあらゆる力が必要だわぁ。特に自分のエネルギアが封じられた時の対処方はマストよぉ?まぁこれから死ぬ人間に忠告してもしょうがないかしらねぇ?」

「……!!」


メイメイは勝利を確信した表情でエミリアの死刑宣告をする。この状況をみたら誰もがエミリアの敗北を疑わないだろう。だがこの状況でエミリアは意外にも冷静に不思議なことを言う。


「はぁ……命をかけたギャンブルは嫌なのよね……」

「……?!」


メイメイはエミリアが何を言っているのか理解できなかった。能力が効かなければエミリアにできることは何もない、そう思っていたからだ。メイメイが戸惑いを隠せないでいる一方、エミリアは自身のエネルギアを高める。それを見たメイメイは苛立った様子でエミリアに怒鳴るのだった。


「っ!!だから何度も言ったけどあなたのエネルギアは私には効かないわっ!やっぱりバカなのっ?!」

「何か勘違いしてる?」

「はっ?」

「私はあなたじゃなくて、私自身を洗脳するのよ!!!!」


そう言い、エミリアはエネルギアを一気に爆発させる。そして自身の身体を紫色に輝くオーラを纏わせるのだった。この姿をみたメイメイは目を見開き驚きを隠せなかった。


「な、な、なんですってっ?!?!自身にっ?!」

「…………」


エミリアは何も言葉を発しない。メイメイはロボットのように無表情の顔をするエミリアを不気味に思い一気に勝負に出るのだった。


「ど、どんな小細工だろうが関係ないわっ!!死になさいっ!!はぁあああっ!!」


メイメイが左拳の一撃をエミリアに向かって放とうとした時だった。エミリアは必要最小限の動きで信じられないスピードで回避し、右拳でメイメイの腹部にカウンターをくらわせる。それはとある少年の技とそっくりのものだった。


「ごはっ…………」


とんでもない威力の一撃をくらったメイメイは膝をつき、何も感情のない表情のエミリアを見上げる。


(い、今っ?!この女!なんかの格闘技を使ったというの?!あ、ありえないわ!この威力!付け焼き刃で身に付けられるものじゃない!!)


焦りながら、そんなことを思うメイメイに対してエミリアは無表情に容赦なく、次々と攻撃を仕掛ける。


「…………」

「くっ……な、なんなの?!この体術はっ?!みたことない!!……し、しまっ……!!……がぁっ!!」


メイメイは初めてみる格闘技にまったく動きが読めず、二発目の直撃をくらうが、すぐさま追撃がくると思い、激痛を我慢しながら一度距離をとる。


「はぁ……はぁ……!ど、どうなってるっていうの?な、何がっ?!……えっ?!」


何か対策はと考える間、無表情のエミリアは気絶したシャドウナイトの刀を拾う。メイメイはその行動をみて、嫌な予感がするのだった。


「ま、まさか……まさか今度は剣で戦うって言うんじゃないでしょうね?!」

「…………」


エミリアはメイメイに一気に接近し、次々と剣技を繰り出す。その剣技はとある月の少女のものとよく似ていた。


「は、速い…………っ!ぎゃああああっ!!」

「…………」


そしてとうとう決着はつく。避け続けるメイメイの一瞬の隙を、エミリアは見逃なかった。ピンポイントでその隙をつき、左肩から腹部にかけて切り裂くのだった。メイメイはあまりの痛みに気絶し倒れるのだった。メイメイが気絶した後、エミリアは能力を解除する。


「……ふぅ……初めて使ったわ。洗脳による『自己暗示』。ケイのトラモント式格闘術とアイリスの剣技を見たことがあってよかったわ。自分自身を騙して、その技ができると思いこませる……ね。賭けだったけど上手くいったみたいね……」


そう呟きエミリアは自身の勝利を確認後、満足そうな表情で大の字で後ろに倒れるのだった。

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