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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
楽しみ方イロイロ

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セバスチャンの有能性

いつもありがとうございます


 その頃、カナリアはというと。

 クィーンにカシミレラの角を喜々として見せていた。

「おばばさん! これっ! 茶筅直しに使えませんか?」

「騒いで入るでない!」

 どんなことよりもまずは礼儀作法の躾を重んじるクィーンにダメ出しを食らった。

「……すみません」

「よい。で、それが使えそうとな?」

「はいっ! 今日折れたてです!」

 何か違いませんか? そう呟いたのはアントニーである。

 確かに状況を説明すればそれで間違いないのだろう。しかし、それで納得できるような話でもない。

 そのまま角を渡すと、クィーンは目を細めた。

「ふむ。これを茶筅に使えぬかの」

「え?」

 アントニーとカナリアの声がはもった。

「別に茶筅は竹でなくともよいかもしれぬ。一度これを加工してみるとするか。……うまく茶筅として機能するかと、エンチャントをかけた場合とかけぬ場合でどう違うかを実証してみねばの。アントニー殿、誰に加工を頼むとする?」

「エンチャントもかけるのであれば、スカーレットさんがいらっしゃったときのほうが間違いはないかと。それ以外でしたらディスカスさんにお願いすればよろしいかと」

「……ふむ。時間が空き次第来るよう言づけるか」


 このため、少しばかり折れてから時間が経過してしまったが、逆に茶筅にはちょうどよく、どのくらい時間が経過したのがベストか調べることになった。

「エンチャントは要らぬようじゃな」

「そのようです。茶とエンチャントは相性が悪いようですな」

「しかし角が役に立つとは思わなんだ」

「左様ですな」

 使い方としては、角をある一定の大きさの円柱に切り落とし、その後中をくりぬく。これで竹と同じような状態になる。

 その後乾燥させ(時間を置くともいう)、細かく縦に切り目を入れて茶筅にするのだ。


 当然この作業はディスカスがする羽目になり、何度もクィーンからダメ出しを食らうことになる。

 茶筅直しは別の部分から切り出したものを、形を整えて使う。こちらは折れたばかり物がよかった。

「……泣いていいか?」

 己に関係ないことで何十回とダメ出しされ、さすがに心が折れかけていた。

「ディスカス様、これが終わりましたら放浪の旅に出られてはいかがでしょうか?」

 セバスチャンの申し出はものすごくありがたいが、それができるような状況ではない。

「食事でしたら、篭に入れて私が届けますが。その間ミ・レディの携帯を私が預かっておきますので」

「お……俺今ものすごくぐらついてるんだが」

「この世界での逃避行なら、しばらく私が匿えますが」

「そうさせていただきます!」

「指名クエスト受注不可だけはディスカス様でお願いします」

「おう! 終わったらそうさせてもらう」

 一気に元気を取り戻したディスカスは、何とか茶筅と茶筅直しを作り上げ、本当に放浪の旅に出かけてしまった。


 そして、戻るまでセバスチャンは本当に知らぬ存ぜぬを貫き通したばかりか、カナリアに一切携帯を返さなかった。


だからお前はどこまで進化するつもりなんだと(他人事)

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