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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
ジャッジの闇

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トールとの遭遇

いつもお読みいただきありがとうございます。

出来れば毎日、出来なくても一日おきに更新をして行きたいと思います。



 まずはAIの紹介も済ませようかということになり、それぞれが紹介していく。

「これが俺のAI。名前はハト」

 そう言ったのはタカである。鳥繋がりの名前なのかとカナリアは思っていたが、どうやら違うらしい。

「タツにしようか迷ったんだけどねぇ。タカとタツじゃ似てるから、ハトにしたよ」

 というのが理由らしい。スカーレットが肩を震わせて笑っていることから、元々の由来が分かるのだろう。

「いやぁ、親子揃って渋いですねぇ」

「分かる君も君だと思うけどね。ディスカス君には政治絡みかと言われたけど」

「普通言うでしょう。そっちのネタよりも有名だと思いますが」

「ディス、あたしの方が有名だと思うけど?」

 ますます分からなくなるカナリアを、ジャスティスが優しく肩を叩いた。

「……まぁ、アレだ。気にするな」

「はい」

 あのテンションのスカーレットについていけないのは、今に始まった事ではない。


「本来ならば、カナリアの作ったアクセサリーの方が性能いいんだけど、今回はこれつけて」

 ユウが差し出したのは指輪だった。

「『冷却の指輪』これがないと行けない場所。今日のクエストはマグマにしか生息できない薬草、火草花(ひぐさばな)の採取」

 そして、マグマに入るためにはこの指輪が必要らしい。

「ちなみにこっちの指輪を作る際には万年雪と氷で覆われたクレパスに行く必要があったりする。そこにある氷と氷花(こおりばな)を素材として使うんだ」

 どっちも生身の身体でいける場所ではないと思っているのはカナリアだけのようだ。

「そんなわけで、採取クエストとしては()難関のクエストだよ。この指輪をしても、マグマの中にいれる時間はたったの五分。……そのあと二十分のインターバルを置かないと性能として発揮できない」


 そうと知っていれば、セバスチャンに頼んで専用の食事と飲み物を用意してもらったのに。そんなことを思いながら火山近くの休息場で荷物を見ると、見たことのない瓶が多数入っている。

「お、早速使ってくれたね。魔法瓶」

 嬉しそうに言うのはスカーレットである。

「はい。今回はユウ様に火山に行くと聞いておりましたので。こちらの中身は火山内で食していただければと思います」

 にっこりとセバスチャンが言い、プレイヤー全員に複数本ずつ魔法瓶を渡していた。

「火口の暑さ対策専用ですので、それ以外では飲まないでください。多分凍結による状態異常が起きると思いますので」

 何それ危険。そんなことを思ったのはカナリアだけのようで、他の面子は感心していた。

「で、こちらがユニ用のものとメル様用のものとなります。メル様用のものは、ジャスティス様にお渡ししてよろしいでしょうか?」

『もっちろん!』

 嬉しそうに声をあげるのはメルである。メンバーくらいなら、メルは意思の疎通が出来るようになっている。


 本日は「従魔(じゅうま)」という扱いで、メルとユニは参加している。


 これもカナリアとしてはかなり不服なのだが。


 ちなみに、メルとユニは服も冷却用のものが用意してあり、それを着込むだけでだいぶ違うという。そしてメルとユニ(二人)専用の飲み物まで用意してある。



「……暑いですね」

「そりゃ、活火山の山だしな」

 汗をだらだらにかきながら、六人は登っていく。

 途中、鉱石発掘のために、寄り道もしている。


「これは火薬に混ぜると、飛距離が延びる。アクセサリーとして使えるかは微妙だな」

「やってみます」

 ジャスティスの説明に、カナリアは即答した。

「……相変わらず、ぶれないね」

 少しばかり呆れたように、ユウが呟いていた。



 それなりに和気藹々と、全員で進んでいく。汗もかきやすいということから、日常生活での熱中症対策も一緒にやっていたりする。


 そんな風に歩いていると、カナリアたちの目の前にトールたちが現れた。

「ここにも限定クエストがあるのか!? 教えろ! ユウ!!」

 それを聞いた別のパーティまでもが、こちらを見すえてくる。

「んなわきゃ、ないだろ。俺がここに組んだ限定クエスト(、、、、、、)はお前がクリアしただろ?」

 その声色に、「お前が無理矢理そのクエストクリア条件を教えろと言っただろう」というものを含ませている。

 それに気付いた連中がひそひそと囁きだした。

「裏切り者!! お前は俺に限定クエストの情報を教えると言っただろう」

「言ってねぇ。『言わなきゃ、身内に頼んで懲戒解雇にする』って言ったから従っただけだろうが。だから、俺とタカが組んだ限定クエストはお前らがクリアしただろうが」

「……お、おい。トール」

 トールのパーティメンバーが慌てて止めに入っていた。これを聞かれてやばいのは、トールたちのほうである。

「お前ら、やっぱりガキだな。限定クエストってのは、ゲームを楽しむためにあるんだ。それをお前らの優越感のためだけに楽していたら、面白くないだろうが」

 にやにやとディッチが言う。

「トール君は『賢い動物』かと思ってたんだけど、こっちのトール君は『お馬鹿な動物』かぁ」

 しみじみとスカーレットが言う。

「タカさんとユウ。どうせだから女でも紹介してやったら? こちらの希望を聞いてくれるかもよ」

「ふざけるな!!」

「駄目? 駄目なら男紹介してやるしかないか」

 そうからかうのはジャスティスである。

「紹介? した相手に恨まれそうだから辞めとく。バズーカ砲を持ってデートに行かれたんじゃたまったもんじゃないし」

「確かに。それは困るね」

 ユウとスカーレットもそれに応える。


 どうやら「?」を飛ばしているのはカナリアだけらしい。別のパーティのメンバーも笑いを堪えている。


「一回引くぞ!!」

 トールが忌々しげに指示していた。


今回は別名「ただのネタ回」

どうしてもやりたかったネタが……


ネタに気づいた方はにやりとしていただければと思います。

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