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初心者がVRMMOをやります(仮)  作者: 神無 乃愛
ジャッジの闇

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現実世界にて<保のもつ名前>

いつもお読みいただきありがとうございます。

<>は英語で話しているものと思ってください。



「久しぶり。アドナキエル」

 納品のために出かけると、保をその名前で呼び止める男がいた。

「……イノセンツ」

「僕をそっちの名前で呼ぶの?せっかくアドナキエルって呼んだのにさ」

「どの名前で呼ぼうと勝手だろうが」

「そうかもしれないね。クリストファー様が仰ったとおりだ。ここに来るとお前に会えるって」

「それで?」

「『TabTapS!』やってるんだって? クリストファー様が喜んでいらしたよ。アドナキエル(お前)の情報を手に入れてはそうやって僕たちに教えてくれる。恥さらしのお前の行方もね」

「……それがどうした?」

 陽気に笑う男は保よりも年上のはずだが、そうは見えない。

「お前も裏切り者(ユダ)たちと同じだ」

「そりゃ光栄なことで」

 納品したあとに声をかけてくれたことに感謝するしかない。


 クリストファーが保につけた名前は他にもある。全て天使に関するものらしいが、昔ならいざ知らず、今の保にはクリストファーが「神」になど思えなかった。

「お前はクリストファー様を裏切ったのに、まだ名前を剥奪されない!!」

 どうやらクリストファーと完全に縁を切ってからも、地位はそのままらしい。

「しかも今までお前を否定していたセラフィムまでっ! お前を褒め称え始める!!」

 また厄介なことを。そう思ってしまったのは致しかたない。

「何人だ?」

「は?」

「『TabTapS!』のゲームに携わったのは、あいつとセラフィム以外で何人だ?」

「それを知ってどうする?」

「……今後の参考に。それから会わないようにするため?」

 というか会わせないようにするためといったほうが正しいか。

「クリストファー様を裏切り続けると?」

「裏切るも何も……。捨てたのは向こうだぞ」

 そう。保が幼い頃に。

「思い違いだ! クリストファー様は素晴らしい方だ!」

 あぁ、洗脳のようなものか。そう思っただけで保は笑いがこみ上げてきた。

「何がおかしい!?」

「いや、何となく」

 それだけ言って保はイノセンツから離れた。



 離れ行くラファエル()を、イノセンツと呼ばれた男は睨むしかなかった。

<面白い顔もするようになったな。ラファエルは>

<セラフィム>

<教えてやってよかったんだぞ? お前と私以外で五人、あのゲームに関わっているって>

<誰が教えてやるか!>

 セラフィムはイノセンツたちの中でもかなり優秀な男で、様々な部署の責任者をやっている。


 イノセンツもセラフィムも元は孤児だ。セラフィムの故郷は既に内紛でなくなっているという。イノセンツは貧しさのあまり、親が捨てた。

 それを拾って、様々な教育を施してくれたのがクリストファーである。


 神を信じる気にはなれないが、クリストファーなら信じられる。それがイノセンツである。


 それに対してラファエルは、セラフィムやイノセンツと同じように数多の名前を与えられながらも、クリストファーの下を離れた。


 イノセンツから見れば、裏切り(ユダ)に等しい。


 ルシフェルならまだ分かる。アレは裏切りをするっことによりクリストファーに情報をもたらす者だ。

 だが、ラファエルは違う。


 一切情報も寄越さず、縁を切った。

 それを認めるクリストファーに誰よりも文句を言っていたのはセラフィムのはずだ。

<状況が変わった。あそこにいるお嬢さんごとラファエルを引き摺りだす>

<どういう意味だ?>

<言葉通りだ。クリストファー()の作ったクエストを難なく一度でクリアさせた子供がいる>

<は!?>

 クリストファーのクエストをクリアした? その事実に驚愕した。

<それだけじゃない。他のクエストもクリアしそうな勢いだ>

<なるほど。その子供とラファエルは仲がいいのか>

<察しがいい。それにかなり懐いている。あの子供が来るとなったらラファエルも間違いなくこちらに来る。だから大人しくしていろ。これはクリストファー様の命令だ>

<……分かったよ>

 クリストファーの命令となれば、イノセンツは何もいえない。


 たっぷり可愛がってやる、そうイノセンツは思った。


アドナキエルは黄道十二宮における11月にあたる天使の名前です。

イノセンツは12月の天使階級。セラフィムは同じく3月です。


保をはじめ、この二人も他の名前も持ってます。

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