第64話〜見ていることしか〜
それではどうぞ!
話が終わったから海莉の所に行きたいんだけど…生徒会長がいるとなるとなぁ…
あまり関わりたくないんだよな〜どうしたものか…と悩んでいたら、海莉がこちらに気付いて歩いてきた。
「どうしたの?そんなとこで立ってたら邪魔になるよ?」
「え?ああ…うん。そうだな」
生徒会長と何してたんだ…?という疑問が頭の中から消えないが、確かにこのままここにいても邪魔になるだけだからね。
「それでどうだったの?」
何かあった?ときく海莉。何かはあったけど……
「まぁ色々あったはあったけど…後でにしよう」
帰ってから話そうと思い、後でにしようと言う。ここで話すのもね…
「そっか、わかった。」
「ところで……あの人と知り合い…?」
気になっていたことを聞いてみる。聞かない方がいいかもと思いつつ我慢できなかった。
「え?ああ、生徒会長さん?知り合いじゃないよ〜」
ただ話しかけられたからちょっと話してただけで何も無いよということらしい。不審に思われない程度に生徒会長の方を見ると…なんか、色んな感情の入り交じった顔してないかあの人?
悔しさやら悲しさやらその他って感じなのか…うん…
……まぁ、いいか!俺には関係ない。関係ないということにしよううん。それに話しかける訳には行かないし。
「ほら、早く帰るよ?」
「それはいいんだけど…何で帰るの?」
タクシー捕まえてあるから、という海莉。わざわざタクシーできたのか…
まぁ帰りは歩かなくて良くなったから楽でいいと思っておこう。
「ただいま〜!」
「ただいま。」
ちょっとしか学校にいなかったのにえらく疲れた気がする。今日はよく眠れそうだ。
いや別に毎日よく寝てるけど。睡眠は1日7時間が丁度いいというのを小耳に挟んだこともあるし寝て損はないのだ。
「それで、どうだったの?」
紅茶を用意しながら問いかけてくる海莉に、俺は今日あったことを話した。…手伝いながらね。
場面は変わって生徒会長視点。
「行ってしまいましたね……」
たまたま職員室から戻ろうとしている時に見知らぬ女性を見かけたから声をかけてみたら…まさかだった。
佐久間さんの知り合い…というか、お迎えだったなんて。母親にしては若すぎるし、姉と言うには似てないので彼女なのだろうか?
それは置いといて、今彼は教師達と話し合いなのだそうだ。内容は私にもわかんないんだよねと言っていたが、声や表情からどんな内容か薄々感じているような雰囲気だった。
それから、邪魔はしないであげてねと言われた。その一言で彼女は私が彼にしたことを知っているのだろうと思った。…生徒会長ですって言っちゃったしね。
程なくして彼が出てきた。それを確認して、彼女が歩き出し…そして帰っていく。
私はそれを、見ていることしか出来なかった。
それではまた次のお話であいましょう〜




