第397話〜家族風呂〜
それではどうぞ
「予約してた佐久間です!」
「はいはい!佐久間さんね。」
ご飯を食べ終わった俺たちは早速1つ目の温泉にやってきた。
海莉が予め予約してくれてたらしく今は受け付けを済ませてくれている。
…にしても、しれっと佐久間ですって言ってるのなんか…いいなあ。
幸せを感じるよね。
「受付終わったよ〜……優成くん?」
「ん?ああ、ごめんごめん。終わった?ありがとね」
「…どうしたの?何か疲れでも…」
「ああいや、幸せだなぁって。」
曖昧だがそう伝えるとちゃんと意味はわかったようで、笑顔に微笑んでくる。
そして耳元まで近付いて
「ちゃんと私を貰ってくれるんでしょ?」
と優しく囁いてくる。…そりゃ勿論、誰が何と言おうと貰うけど。
「ほら、行こっ?ここにいても迷惑だし…」
「ああ。そう…だな」
他の人達からの目線が生暖かい。……流石に居ずらくなってきたためすぐさま脱衣所の方へ向かう。
ちなみにだがここは貸切風呂のため俺と海莉の2人だけで入る事が出来る。
…時間制限があったり割高だったりするけどせっかく2人で来てるんだしな。一緒に入れる方がいいだろう。
「わ〜凄い!露天風呂だよ!」
「お〜凄いなこりゃ…」
家族風呂にも色々タイプがあって14種類ぐらいから選べるらしいが…海莉に任せて正解だったかもな。
自然を感じられる作りになってるしオシャレだし、いいねこれは。
ゆっくり出来そうな温泉だよ…
「蒸し風呂っていうのもあるみたいだよ」
「蒸し風呂?」
なんじゃいそれ。…せっかくだから後で入ってみるか。
とりあえずは目の前の風呂から。……しっかりと掛け湯してから入りましょう。その辺は守らなきゃね。
「ん〜っ!いいお湯ー……」
「ああ〜癒されるなこりゃ」
お湯加減も暑すぎるってこともなく心地よい感じだ。
なんか体にも良さそうだし雰囲気良いしこれは人気出るだろう。寄りたいってのもよくわかる話だな。
と、1人頷いているとすすっと横に海莉が迫ってくる。
「……どうしたの?」
「だめ?」
ダメとは言ってないけど……あんまり誘惑するのはやめて欲しいな。
ここ家じゃないからね、温泉だからね。
「どこでも誘惑するわけじゃないよ〜」
それはまぁ確かに……ちゃんと常識はあるからな。
「あ、でもお互いの背中を流すぐらいはやろ?」
「それぐらいならまぁ」
背中ぐらいなら何の問題もない…はずだ。流石に前となると覚悟を決めないと無理なのだが…
それに日頃世話になってるわけだしそれぐらいはやるべきだろう。
「のぼせないでね」
「大丈夫…なはずだ」
からかうように言ってくる海莉にそう返す。そんな俺をみた海莉は楽しそうに笑っている。
全く……さ、じゃあ洗おうか。……泊まりじゃないしこの後移動するから洗う必要があるかは分からんが…
まあまあ、らしいってことでいいじゃない。
それではまた次のお話で会いましょ〜




