第363話〜六花誕生日前〜
それではどうぞ
「…って感じ。その辺意識すれば特に問題ないかな」
時間こそかかったものの料理自体は特に問題なく完成した。
出来の方も初めて作ったにしては上出来で味も食感も何も違和感はなかった。
これなら出しても「あれ?」とはならないだろうし本番も大丈夫だろう。
時間がかかりすぎたのがちょっと不安だが……まぁ、その辺は慣れの問題だ。
1回やった経験があれば次以降時間を短縮出来るだろうし本番で間に合わない!みたいなのは無いと思う。
「精進します……まさか夕方までかかるとは思わなかった」
「多めに時間とっててよかったな」
この時間に食べてしまったから夜ご飯が食べられるかちょっと不安だが。今日の夜ご飯次第か…
「う……頑張るしかないか」
「頑張れ。」
俺は海莉に頼んで量を減らしてもらえばいいが大也くんはそうもいかないもんな。
普段この時間に何か食べないから勘づかれるかもだし頑張って。
「じゃあ悪いけど当日もよろしく…」
申し訳なさそうにそう発言する大也くん。気にしなくてもいいのに。
「はいはい、任せてくれ」
今回は六花さんの連れ出し担当が海莉になっているのでお手伝いは俺がやることになっている。
そうした方が俺が連れ出すよりも自然に話が進むしな。海莉はそういうの上手いし。
「レシピバレないようにね」
「携帯に入ってるし問題無いでしょ」
最初は紙に書こうとしてたんだけどそれだと持って帰った時にバレるかな?と思ってメッセージで送って正解だったね。
…紙に書くのがめんどくさいって言う理由もあるにはあるのだが。
今の時代デジタルに済ませれるならそうしたいよね。
「…時間だ。そろそろ帰るわ」
「ん、お疲れ様。」
時間になったので大也くんを見送る。ちゃんと復習忘れないようにねと言うのも忘れない。
しっかり復習はしなくてもいいがちょっとぐらい見返しておいた方が当日楽になるだろうしね。
と、大也くんを見送って数分経過した頃にまた玄関のドアが開いた音がする。
海莉が帰ってきたかな?
「ただいま〜っ。」
「おかえりー…それ何?」
やっぱ海莉だったな。…しかし手に持ってるものはなんだ?食べ物に見えるけど……
「クッキー!焼いてきた」
「お、そうなのか。」
女性チームは女性チームで作ってたのか。…にしてもクッキーか、美味しそうだな。
さすがに今すぐに食べる気にはなれないので後で頂こう。
「あれ、お腹空いてないの?」
「思ったより時間がかかってさっき食べちゃったからね」
「そっか…じゃあ晩御飯ずらそっか」
そうしてくれると有難いけど…いいのか?海莉は普通にお腹空くだろ?
「クッキー食べすぎたから…」
そっか…ならそうしようか。
「大也くん大丈夫そう?」
「大丈夫だと思うよ、筋は悪くなかったし」
そう言うと安心した様子で良かったと呟く海莉。心配してたもんね。
「もし失敗してダークマターだったらどうしようかなって…」
「…その時は俺がやるしかなかったな」
そうはならなくて済んだけど。
後は本番かな、六花さんが喜んでくれるように行動するとしよう。
プレゼントも受け入れて貰えるといいけど。
それではまた次のお話で会いましょ〜




