第334話〜遠距離〜
それではどうぞ
「ゆーせーくーん!」
「……酔ってる?」
夜頃になり、海莉たちの方も一日の予定が終わったのか電話をかけてきた海莉。
いやまぁ、それ自体は問題ないどころか嬉しい。俺だって話したかったからな。
ただ……なんかいつもと違うんだけど。声が物凄く甘いと言うか柔らかいと言うか。
「よってないもーん。おさけなんてのんでないもん!」
「お、おう。そうか……」
こういうとこで嘘をつく必要も無いし多分飲んでないのだろう。……多分。
「むー!ほめてよー」
「ごめんごめん。……今日1日お疲れ様、海莉。偉いぞーよく頑張ったね」
実際大変だっただろうしいくらでも褒めるけど。甘えモードだなぁ海莉。
可愛いんだけどね?めっちゃ可愛いんだけどね?
「今日ねー、色んなところ回ったんだけどね」
「うん」
ふわふわしててもさすがは海莉、企画が分かるようなことは言わないがこんなとこ見たよーこんなことあったよーと言える範囲で伝えてくる。
一生懸命に話す海莉可愛いな。癒される。今目の前にいたら抱きしめていただろう。
「明日の夕方頃にはかえれるとおもうー」
「わかった。時間が分かったら連絡してくれ」
「はーい。おみやげもかってくねー」
楽しみにしてるよ、お土産。
「あー、そろそろお風呂だから一旦切るね」
「……その状態で入って大丈夫なのか?」
「だいじょぶだよ。いってくる」
「行ってらっしゃい」
…………あんなにふわふわになるの、基本的に眠たい時だと思うんだが…本当に大丈夫なのだろうか。
お風呂で寝るのって危ないからな…まぁホテルだろうし他のお客さんも居るだろうから大丈夫だとは思うが。
今のうちに俺もお風呂に入ってこようかな。多分寝る前にもう一度かかってくるだろうしそれまでにあらかた用事を終わらせておかなければ。
なんか遠距離見たいな感じだな、寝る前に通話して……ってやつ。
「もしもーし!」
「聞こえてる、聞こえてるよー」
さっきと違って声でかいな。ふわふわしてないし。
「眠くない?」
「お風呂入ったらスッキリしちゃった」
なるほど、風呂はいって目が覚めたパターンか。……って、それつまり風呂入るまで眠かったってことだよな?
「えへへ…気を付けるね」
「ほんとにもう……」
疲れてたんだろうから仕方ないにしろお風呂で寝るような自体にならないようにして欲しい。
家でなら一緒に入れば俺が見ててあげられるが外ではそうもいかないんだから。
「一緒に入ることに抵抗がなくなってきたね」
「そりゃもう何回も入ったから」
最初はともかく何回も入ってればそりゃなれるよ。緊張もしなくなってきたし……
「でも照れさせたら照れてくれるの可愛いよね」
「照れさせてくるからでしょ」
「ふふふー。私の勝ち!」
いつ何で勝ち負けを競ったんだ……そしてなんで負けたんだ。
「……明日早いからそろそろ寝なきゃ行けないんだけど寝たくないよお」
「気持ちはわかるけど寝なさい。」
「え〜…朝起きるまで繋いでて?」
「いいよ」
寝落ち通話ってやつか……初めてだな。ってそりゃそうなんだけどな。ずっと同じ家にいる訳だから寝落ち通話する意味ないし。
「初めてだね。…遠距離みたい」
「会いたくても会えないって辛いんだな」
遠距離じゃなくて良かった。……さて、海莉に合わせて俺も寝るとするか。
それではまた次のお話で会いましょ〜




