第285話〜収録〜
それではどうぞ!
いよいよ本日は収録の日。4人一緒に収録してもいいとの事だったので4人でスタジオに集まって収録させてもらう。
「じゃあ今日はよろしくお願いします」
『お願いしま〜す』
ちなみにだが、今日は俺達4人と収録に必要な最低限のスタッフさんしかいない。
一応みんなVTuberで名前や顔を隠して活動しているのでそこに配慮してくれた形だ。
正直そんな配慮してくれると思ってなかったのでかなり嬉しい。さすがに六花さんが紹介するだけはある。
「じゃあ私からだね!」
行ってくる!と言ってそのまま部屋に入っていく六花さん。
他の人が収録してる時は今俺たちがいるところで収録してる様子を聞けるらしい。
……うーん、六花さん上手いな。感情の込め方もだが言い方?発言の仕方?まぁとにかく上手い。
お、OKがでた。1発とは流石だな。
「上手いな。あ〜緊張する」
六花さんが終わったら大也くんの番だからね…緊張するかもしれない。
「2人は緊張してないの?」
「私は別に…」
「言うほど…」
収録で緊張はそこまでない。ボイス収録を経験してるからだろうか?
海莉もそこまで緊張してないみたいだ。似たような経験があるんじゃないかな。
「羨ましいな…っと。もう俺の番?」
六花さんの番終わるのはっや。全部1発なんじゃないか?セリフ数が少ないとはいえ流石だな…
「じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい〜」
そう言って収録しにいくダイヤくん。…と、その入れ替わりで帰ってくる六花さん。
「お疲れ様六花ちゃん」
「お疲れ様ー」
「ありがとっ!思ってたよりすぐ終わっちゃった。大也は……緊張してるねぇあれ」
声が少し固い。緊張するのは仕方ないと思うけど、上手くリラックス出来るかどうか。
「私のどうだった?」
一息ついて感想を聞いてくる六花さん。やっぱり気になるんだ?
「上手だった!もしかしてやったことあるの?」
「ないない、全くない!」
あれで全く無いのか。経験があるのかと思った。
台本があるとはいえあれだけスラスラ言えた所を見るとかなり練習したんだろう。
「練習したよ〜。迷惑かけられないし……下手なものを作って炎上したら責任取れないし」
確かにな。例えモブ役だろうと俺達はVTuberだからな、影響力が他の人より高い。
注目は嫌でもされるわけだから下手だったら炎上する可能性もある。そうなるとその作品を潰してしまうことになる訳だからな……
「さて、私も復習しよっと…」
「…俺もしとこうかな」
ダイヤくんの収録風景を横目に自分のセリフを復習する。
まあ俺の出番は最後だからまだ余裕はあるんだけど一応ね。出来る時にしとかなきゃ。
そうしてかれこれ30分程経過した辺りで大也くんが帰ってきたので、入れ替えで海莉が収録に行った。
「あ〜疲れた…」
「お疲れ大也。はい」
六花さんが帰ってきた大也くんにお茶を渡して労っている。
…こうしてみると本当に仲がいい。流石カップル。
「後半良かったよ〜大也」
「前半はダメだったのね」
「ダメって言うか緊張し過ぎっていうか。でも後半はちゃんとかっこよかった!」
そんなにかっこいいセリフでも無いんだけどな…と言いながらも満更でもない様子の大也くん。
…っと、申し訳ないがあまりそっちに構っているのも良くないな。
何せ今は海莉の番だ。しっかりと聞いておかないとな。
…どうせ放送されたらまた聞くんだけどそれはそれ。今聞けるのだから聞かないのは損なのです。
「そんなこと……でしょ!?」
海莉、練習した時からさらに上手くなってる。より感情がこもってるしな。
他のセリフもちゃんとそのシーンにあった演技になっていて完成度が高い。
スタッフさんも「え、声優のお仕事されてます?」って聞いてるぐらいだ。プロと比べても遜色ないんだと。
「何やっても上手いなぁあの人」
「ね。上手」
当然のような顔で何でもこなすよね、海莉。…でもまぁそれは影で努力してるからなんだけど。表に出さないよねあんまり。
後で褒めて甘やかして上げないとな。俺はその努力を知ってるわけだし…
なんて考えてたらいつの間にか海莉の番も終わったようだ。
…これまた早い。さてじゃあ最後は俺の番か…
練習の成果出しますかね!
それではまた次のお話で会いましょ〜




