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第256話〜欲しいものは全部もってます〜

それではどうぞ

「流石に緊張しますわね…」


今日は大会当日だ。まぁ流石に当日ともなればちょっと緊張するよな。

とはいえそこまで緊張しすぎても良くないから程よくリラックスするようにしてるが…


「インタビューだって。何言う?」


逆に海莉は緊張して無さすぎだな。…いやまぁ、海莉が1番こういうのに慣れてるんだろうけど。


「頑張りますでいいんじゃない?」


「普通すぎてつまらないですわね」


「変な事して滑る方がダメージでかいでしょ」


こんなとこで余計なことができるほど俺のメンタルは強くないぞ。ユーモアのセンスなんか無いしな。


「賞金の使い道とか聞かれるっぽいよ?」


「決めてませんわ…」


みんなでご飯とかいいね〜と言ってはいたもののまだ何も言ってないんだよね。

…ん〜、ここは無難に貯金って言っとくか?


「物欲が無さすぎですわね…」


「いや今欲しいもの…まぁ強いて言うなら」


「言うなら?」


「新しい電子レンジぐらい?」


ちょうど家にあった電子レンジ、不調なんだよね。買い換えなきゃダメかなぁって話を海莉としてたんだよな。

まだ使えてるとは言え、いつ使えなくなるか分からない。


早めに買い替えなきゃいけないんだよな〜


「…主婦ですの?」


「言うほど最近料理してないけどね…」


海莉がしてくれるようになってから甘えすぎてるかな〜……

それに料理の腕も落としたくないし、そろそろちゃんと料理しないとな。


「だめ」


「ええ……」


しようとするとこうしてだめって言われるんだけどな。無理にしようとしたら


「私の料理じゃだめ…?」


って言われたことがあるから無理にもできない。そんなこと言わせたくない。


「あ、そろそろ番だよ。…って2人とも配信つけてる?」


「あ」


「忘れてましたですわ」


あとボタン押すだけだったんだけど忘れてたよね。しまった……

急いでボタンを押して開始する。…遅延5分あるから始めてもコメントがしばらく届かないのが残念だがまぁ仕方ない。


「間に合った間に合った」


「もう……うっかりさんなんだから」


「すぐ2人の空間に入らないでくださいまし」


入ってないよ。かりんさんが置いてかれてるだけで。

そこは頑張って入ってきてもらわないと…


「酷いと思いませんの?」


「ごめんねかりんちゃん…私ウルフくんの味方なの」


「味方がいませんわ」


そうして会話がひと段落した辺りで、主催者さんが入ってきた。

インタビューだろうな、タイミングがいい。


「あ、お疲れ様です〜」


『お疲れ様です』


「インタビューに来ました主催のゲオです。ウルフさんは初めましてですよね」


「そうですね」


今回の大会の主催をしてくれてるゲオさんだ。…どこかのお店の名前に似てるがきっと関係はないだろう。


「ではまず皆様の意気込みをお聞かせください」


「がんばります」


「優勝目指してやりますわ」


「頑張るから応援してね〜っ!」


「ありがとうございます〜。賞金を入手した際の使い道とかありますか?」


「バッグでも買いますわ」


かりんさんっぽいなぁ……大学生って感じ。馬鹿にしてる訳じゃなくてね?


「あーいいですね。おふたりは?」


「なんか食べます。高いやつ」


「美味しいもの食べるの幸せですからねー。ウルフさんは?」


「貯金かな」


「堅実っ。凄い堅実ですね。欲しいものとかないんですか?」


「もう全部持ってるので……」


欲しいのは海莉だが、海莉はもう俺のものだからね。欲しいものは特にないよって感じで言ったところ周りの反応がお〜!って感じになった。


「なーるほどなーるほど。ボタンさんの心を持ってるから他は要らねぇと」


「はっきり言うとそうですね」


「良いですねー!是非将来使っていただきたい。…では頑張ってください!ありがとうございました!」


「ありがとうございました」


……こんなもんでいいだろう。聞いてた人も退屈はしなかったんじゃないか?

まぁその分俺は恥ずかしいが……仕方ないということで。


「めっちゃ恥ずかしいじゃん何言ってるの」


「事実だし…」


「サラッと言えるのが凄いですわ」


そうかね。でもこうやって言うのみんな見たいでしょ?

たまにはリスナーに答えてあげないとな。


「じゃあまあ今日は頑張りましょうか」


「だね!」


「優勝しなければなりませんわね!」





それではまた次のお話で会いましょう〜

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