第253話〜婚約成立〜
それではどうぞ
「ここ……って」
「そう。覚えてる?」
覚えてるさ。……忘れるわけが無い。何せ、初めて出会った場所だからな。
というか、思い出の場所ってここ?
「初めて出会った場所だもん。思い出だよ」
良くある思い出の場所に比べてここでいいのか…?という疑問はあるけどな。
でもここで海莉と出会って無ければVになることもこうして海莉と付き合うこともなかったわけだし、そうやって考えれば確かに思い出の場所か。
「確かに出会い方はロマンチックでもなんでもないけど、それでも優成くんと出会えた場所だもん。…優成くんは嫌がるかなって思って来なかったんだけど」
いやまぁ…昔に来てたら嫌だったが今は別に何とも思わないぞ?
って、それがわかってるから連れて来たんだよな?
「もちろん…って言いたいけど、ちょっと不安はあったよ。でも我慢できなかった。」
「我慢?それまたなん…」
「私は優成くんが好き。大好き。……優成くんは?」
最後まで言い切る前に、海莉がそう言った。…まてよ、もしやそういう事か?
だとしたら逃げる訳には行かないじゃん。
「好きだよ。大好きだし、幸せにしてみせるって言った気持ちに嘘はないよ。……ずっと海莉と生きていきたいと思ってる」
もう海莉無しで生きていくのは無理だ。…本当に海莉に出会えてよかった。
これから海莉と一緒に歩む人生を想像するだけで胸が膨らむし、楽しみなんだ。
ああダメだ、色々と言おうと思ってたことがあって色々と考えてたんだが全部吹っ飛んだ。
だから素直に…言うとしよう。
「海莉…」
「はい」
「俺と、結婚してくれ」
指輪のは入ってる箱を取り出して、それを開ける。
もちろん海莉に見えるようにしてだ。
めちゃくちゃ緊張する。もし断られたらどうしようかな?
流石にしばらく立ち直れないなぁ。
「……はい。」
そんなことを考えていると、涙を流しながらそう答えてくれた。…良かった断られなくて。そして
受けてくれて、ありがとう。絶対に幸せにするから。
「断られたらどうしようかと思った」
「ことわるわけないでしょ、ばか。」
そう言いながら左手を差し出してくる海莉。…付けろってことかな、任せてくれ。
「…はい。」
左手の薬指にはめてあげる。サイズは…ピッタリだな。
店員さんに任せてよかった、あの人プロすぎるだろ。
「わあ…夢見たい」
そう言ってしばらく指輪に見入る海莉。…気に入って貰えたようで何よりだ。
絵になるなぁ…俺も幸せだ。
「大事にするね…っ」
「…次は結婚だな」
「焦らずにやって行こう?」
そうだな。…結婚式とかしたいか?したいなら色々考えなきゃ行けないが…
「したい。…夢なの」
「そっか、じゃあ叶えてあげないとね」
女の子の夢ってやつかな?叶えられるわけだし叶えてあげないとな。
何より海莉のウェディングドレスは見たい。絶対似合う。
「…やっぱり買ってくれてたんだね」
「気付いてたんだな。」
流石に怪しすぎたか。普通に気付かれてたようだ。
冷静に考えるとあれでバレないのはなかなか無いか、不自然に離れたもんな。
「でも嬉しかった。…結婚してくれの一言に全部詰まってたよ。大事にされてるんだなって」
「何より大事だよ。俺よりもね」
「自分を大事にしなきゃ怒るよ?」
してるよ。…してるけど、それでも海莉の方が大事なことに変わりはない。それぐらい大事なんだってこと。
「2人で幸せになろうね?」
「…そうだな。もちろん。2人で幸せになろう」
私も優成くんを幸せにするから、と言う海莉を抱きしめる。
俺の彼女可愛い……ダメだ可愛い。
「可愛いけど外でそんな表情しないで」
「え〜…なんで?」
「家でゆっくりみたいじゃん」
「今周りに人いないからいいじゃん」
それはそうなんだけどな?…けど誰かいる所でそんな可愛い表情は見せないでくれ。
「…これからもっと愛し合おうね!」
「そうだな。……で、何してるんですか海莉さん?」
さりげなく押し付けないでくれ、当たってるから。
「当ててるのよ…なんちゃって」
「当てないで?ほんとに。こんな所でハッスルしたくないんだけど…」
そう言うと妖艶に微笑んだ海莉は…
「ちなみにここ、近くにホテルあるの知ってた?」
「そういやなんかあったような……え、まさか」
「何事も体験だよねっ」
全部計算してるやったのか!?ねぇ海莉?今日はそんなつもりで来てないしさ……
「優成くんストレートなんだもん。我慢できなくなっちゃった……だめ?」
「ああもう…わかったよ。ほら、行こう?」
こっちまで変な気分になる。付き合ってからほんと海莉って積極的だよね。
優成くんが積極的じゃ無さすぎる?ほかの人たちはもっとしてる?
…そんなもんなの?俺はもう恋人の形が分からないよ……
そうして俺達が次に外に出てきたのは……夕方だった。
結婚まで時間はあるよっと。
それではまた次のお話で会いましょう〜




