第216話〜バレンタイン前日の予定〜
それではどうぞ
「か、かいりっ!?」
「男の子ってこうされると喜ぶんでしょ?」
いや…確かにそうだけどさ。そうなんだけどさ。当たってる(当ててるんだろうけど)分伝わってきて凄いんだけど。
「正面からの方が良かった?」
「それはちょっと魅力的だけど多分俺が耐えられないからだめ。」
「お風呂だと尚更ショートしそうだもんね。上がったらにしよっか」
そうしてくれ、お風呂だと危ないからな。…で、いつまでそれしてるつもり?
「そろそろ真面目に洗うよ〜。…優成くんって意外と筋肉あるんだね」
「そうか?…まぁたまにしか外に出ない分家で筋トレしたりしてるからかな」
何も筋肉をつけたいって理由じゃないけども。何もせず家にいて食べて寝るだけだと太るからな…太るのは健康に良くないしさ。
「する前から多少筋肉ついてたよね?」
「ちょっとだけな。力仕事させられる時もあったんだしそれでついたんじゃない?でもそんなに多くはないと思うよ」
「あんな折れそうだった優成くんが今ではこんなに頼りになって…私泣きそう」
気持ちは嬉しいが泣かれるのはちょっと困るなぁ。確かに海莉と最初に出会った当初こんな関係になるなんて思ってなかったわけだけどさ。
「運命って不思議だよね。…痛くない?強すぎるとか」
「運命の相手が海莉で良かった。…うん、全然強くない。むしろちょうどいい」
運命が存在してるなら感謝したいな。…いや、まぁ人生ハードすぎるだろお前って言いたい気持ちもあるけど。
でも我慢してきた分海莉と出会えるんなら釣り合いが取れてるのかな。まず普通には会えないだろうし…
「にしても許しちゃダメだと思うけどね、優成くんの親。…そういや父親は?全く何も知らないの?」
「うん、名前も声も顔も何も知らないな。」
俺の事を捨てたやつのことなんかどうでもいいし知りたいとも思わんけどな。
どうせ関わってくることもないし…
「もし関わってきたら?」
「二度と関わってこないように手を打つかな。」
そんな自体にならないで欲しいけどな。そもそも今の俺の連絡先を知ることなんて無理なんじゃないかな。
身バレすればわんちゃんあるが…相手も俺の事に興味なんてないだろうしいいけど。
「もし何かあっても私が守ってあげるから」
「そうならないことが1番だけど、その時は…頼りにする」
「されなかったら怒るし拗ねるから頼りにして。…1番に私を頼りにして欲しいもん」
海莉が頼りになりすぎて頼りまくるとダメ人間になるからできるなら頼りたくないんだけどな。
「ダメ人間になって私に依存してくれればいいのに。…お湯流すよ〜」
「既に依存してるようなものだから……はーい。」
…そろそろ前を洗わないとな。さすがにそれは自分でやるため、サクッと洗うことにする。
いつものように洗った後泡を流して、場所を海莉と交代する。
「じゃあ髪の毛やるよ?」
「うん、お願い」
おお……サラサラ。めっちゃ触り心地いいよな海莉の髪。その分手入れが大変だと思うけど…
「大変だけど苦ではないかな。優成くんが触った時に触り心地がいい方が私も嬉しいから」
あ〜もう。堂々とそういうことを……可愛いなぁ。
じゃあもっと丁寧に……扱わないとな。こんな感じでいいのかな?
「うん、大丈夫。…優成くんももっとちゃんと手入れしたらサラッサラになるよ?」
いやぁ…流石にここまではちょっと面倒かな。海莉がして欲しいならするけど自分でしたいとは思わない。
「君らしいね。…うん、したくなったらでいいの」
そっか。…気が向いたらしてみようかな?
「流すよ〜」
声をかけて泡を流す。……熱くないかな?大丈夫そうだな。
「次は背中な。痛かったら言ってくれ」
声をかけて洗う。これも優しく…優しくな。海莉の背中は折れやすそうなのにあんなに頼りになるわけだし。
「今言うことじゃないけど…優成くん」
「ん?何?」
「12か13日、ちょっと家出ててくれない?」
……え?それってどういう……
「チョコ作るからに決まってるでしょ!当日まで秘密にしたいの!」
ああ、そういう事か……良かった。納得した。
わかった、じゃあちょっと遊びに行ってくるわ。
「ごめんね?」
「いや、大丈夫。楽しみにしてる」
こうなるとお返しが大変だなぁ。…しっかり考えとかないと。何がいいのかなぁ…
「気が早いよ。…その時になったらでいいから」
「そう?あ、流すから前自分でしてね」
にしても、その日は暇になるわけか……何しようかなぁ
行きたいとこも特にないし……
「ふふっ、後でDM確認しておいてね」
「え?うん、わかった」
きっと何か用意してくれてるのだろう。こういうとこまで気が利くのは海莉だよな。
「あはは…けっかおーらい」
「何か言った?」
「なんでも。……さっ、浸かったら出よ?結構長い時間いるし」
確かに……そろそろいい時間だしな。
いつものお風呂と違ってゆっくりは出来なかったがこういうのはこういうのでいいな。
たま〜にならやってもいいかなと思った俺だった。
それではまた次のお話で会いましょう〜




