第16話〜気遣い〜
配信をするお話の前にこれを挟んどこうと思って(区切りが良かった)
それではどうぞ!
「ん……」
起きた。今は…まだ夜中の2時か。なんでこんな時間に起きたんだか。
まあ、いい。二度寝しよう。
…………寝れない。完全に目が覚めたな。
とりあえずお茶でも飲んで気分転換しようとリビングに向かう。…ん?あれは…
「海莉…?」
夜中にも関わらず、海莉が何かしていた。…こっちに気付きそうな気配がないくらいには集中している。邪魔しちゃ悪いかな。
そう思って、音を立てないようにお茶を取りに向かう。ふと海莉の方を見るとかなり真剣に何かを見ている。…邪魔はしたくないけど、飲み物を置いてあげるぐらいはしよう。
海莉、紅茶が好きって行ってたからな。紅茶なら入れたことはあるし…
そう思って紅茶を用意する。…よし。
出来たので海莉の前にそっと置く。コトっと言う音で気が付いたのか、海莉がこちらを見上げる。
「優成くん。…起きてたの?」
ちゃんと寝ないと、と俺に言ってくるがそれはブーメランだと思う。
「それを言うなら海莉も。…実はついさっき起きちゃって。寝れなかったから、お茶でも飲んで気分転換しようと思って来たら海莉が起きてたから」
「それで、私に入れてくれたの?…ありがとう。」
気が利くね、と微笑んでくれたので良かった。
「海莉はこんな時間まで何してたの?」
「ちょっと書類の整理とかがあってね。早めに終わらせたかったから頑張ってたの。」
まだ終わらないけどね…と言う海莉。手伝おうか?と聞くと優成くんまで寝れなくなるのはダメ!と言われた。別に良いんだけどなぁ。
「…程々にしてね。どうしても間に合わないならまだしも、まだ余裕があるなら尚更。海莉が倒れると凄い心配になるから…」
後はもうせめて無理はしないで、と心配することしか俺には出来ないから。
「…うん。ごめんね、心配かけて。大丈夫だよ、優成くんを置いて倒れたりしないからさ。」
頭を撫でられる。無理に撫でようとしなくてもいいんだけど、気持ちは嬉しいから受け取っておく。
「なら、いいんだけど」
そう言って、立ち上がる。あまり邪魔をしても悪いし。
「あ、待って。…優成くん、ありがとね。おやすみ」
「どういたしまして。」
あまりにも微笑んでる姿が……だったので、視線をずらしてそれに答える。
その後しばらく寝れなかったのは言うまでもない。
「もう。優成くんはほんとに優しいんだから…」
優成くん、こんなに優しいのに…彼を見捨てる人達は本当に見る目がない。
それに彼にこの書類を見られなくて良かった。…今はまだ、時じゃない。
にしても……彼の入れた紅茶、本当に美味しい。また今度入れてもらおうかな。
さ、私も寝ないとね。これ以上心配かける訳には行かないし。本当に倒れたら優成くんがどうなるかわかんないし。
おやすみなさい、優成くん。
それではまた次のお話であいましょ〜




