第149話〜起床からの抱擁〜
それではどうぞ
「すぅ……すぅ……」
朝起きると、隣には海莉が……って、もはやこれは慣れてきたな。
はっ、まさか…慣れさせておいて一緒に寝ることを習慣付けるつもりかっ!?…って、流石に考えすぎだよな。
「てか、抱き合って寝てたのか…」
昨日の夜の格好のまま寝てしまい、起きるまでそのままだったようだ。…落ち着くからいいんだけどさ。
寝ている海莉を見ると、凄く安心できる。昨日のような感じとはまるで反対だ。
思わず髪の毛を撫でる。しばらくしているとゆっくりと海莉が目を開けた。…起きたのだろう。
「ん……ゆうせいくん?」
「起きたか、おはよ。」
「おはよ〜……」
そう言って抱き締めてくる海莉。思わず抱き締め返すと、幸せそうな声を出した。…かわいい。
少しして、力を緩める。海莉の方は少し前からされるがままになっていた。
「満足した?」
「まぁ…うん。」
俺が力を緩めると海莉が聞いてきた。少し恥ずかしいが素直に答える。
「よかった。…もう少しこのままにする?それとも起きる?」
どうしようか……もう少しこのままで、と思う自分も居ればそろそろ起きないとだめだよ!という自分もいるし……
起きるか。こういうのはいつでもできるだろうし……お願いするのは恥ずかしいから自分からは言い出さないと思うけど。
「おっけ〜。…別に何時でもやるよ?流石に外だと恥ずかしいけど…」
外ではやらんわい。ますますファンに刺されるわ。……っと、いい加減起きないとな。
「あ、そうだ。」
「…?」
「もう、大丈夫?まだ何か不安な事とかない?」
「うん、大丈夫。もう何も無いよ。」
昨日の感情はすっかり消えて無くなっていた。…またいつ出てくるかと思えば怖いのだが、それはその時対処すればいいし。
しっかり聞いて心配してくれるなんて……やはり海莉は優しい。ありがとな。
「ご飯作るから、ゆっくりしててくれ。」
せめてご飯ぐらいは作らないと。今日ぐらいはゆっくりして欲しいし。
「そう?…じゃあお願いしようかな。でも片付けは私がやるから。優成くん、今日編集でしょ?」
「片付けしてからでも編集できるんだけどな…」
「だめ!」
そっかぁだめか。なら仕方ない…甘えるとしよう。
そもそも今日やることは編集だけでは無い。
コラボする1人目との顔合わせ…というか打ち合わせ?実際に通話を繋げて話す訳では無いがどういうことをやるのかとかそういうのを直接お話するのだ。
あとはその人が普段どんな動画を出しているのかとかLIVEをしているのかとかを確認したり…だな。
相手のことを知っている方が話題に出来るしいいだろうからな。
「VTuberしてるねぇ」
「VTuberも大変なんだな…楽してできるものがないのはどれも一緒か」
「だからこそ楽しいんだけどね。…なって良かったでしょ?」
そりゃあもう。海莉と出会えたし。
「…っと、そろそろ準備してくる!」
「行ってらっしゃい〜私はもう少しここに残るね。」
そこそこに幸せな気持ちのまま台所に向かう。……とびきり美味しいのを用意して海莉に出さないとな。
それではまた次のお話で会いましょう〜




