第138話〜デート終了〜
それではどうぞ
「確かに凄いな……」
この辺では有名な夜景スポットらしく、周りにはかなり人がいる。…何故か男女のペアが多いような気はするけど…
「気のせいじゃない?時間帯の問題だよきっと」
…それもそうか。たまたまだよな、間違いない。
「ネットで見かけた時からちょっと見たかったんだよね…」
チラッと横にいる海莉を見る。魅せられてるように景色を見ている様子だ。
「どうかした?」
「いや?なんでも。」
流石に景色より景色見てる海莉の方が……みたいな小説でよくあるセリフは言えないしな。
「ん、満足!ご飯食べに行こっか?この近くだし」
「そりゃよかった。…今宵は何を?」
「和食!」
いいねぇ、和食。海莉が作る和食料理美味しいんだよな…
「優成くん好き嫌いしないし、なんでも美味しく食べてくれるから作り甲斐があるよ」
「食べれるだけで幸せだしな。…海莉の料理は実際美味いし。あればっかり食べてるといつかほかの食べられなくなりそう…」
胃袋を既に掴まれてるんだよな。…それだけじゃなく家事とかもやってくれてるし。
もちろん任せっぱなしは流石に、と思うので俺もやってるけど。
「甘やかして駄目人間にして私がいないと駄目なようにさせてあげるから覚悟してね」
「勘弁してくれ。今ですら海莉がいないと駄目になるのに……」
「もっと甘えてくれていいのに。……ついたよ。」
甘えすぎて海莉の負担になってもなぁ。…っと、ここか。
いかにも料亭ですって言う雰囲気の漂う所だ。多分お高いだろうけど……
「いらっしゃい。」
「あ、予約してた鳴谷です。」
「はいはい。…こちらへどうぞ」
そう言って個室に案内される。注文が決まったらタブレットで入力すればいいらしい。
…ハイテクだなぁ。
「個室だから話を聞かれる心配もないし、誰かと大事な話をするのに使えるよ?ここ」
「誰か連れてくる予定は無いけど、いつか使えそうだな。」
「何にする?私はもう決まってるけど」
そう言って海莉は…本日のオススメメニューを頼むようだ。
ん〜…そうだな…何にしようかな。
「海莉と同じのでいいかな…」
「ん、わかった。じゃあ頼むね!…他に何かいる?」
「いや、今は大丈夫。」
海莉がここは色々といいお店だよ〜と言うだけあって、頼んだものが10分以内に来た。
「おお、美味しそう。」
「海鮮尽くしだねぇ。いただきます。」
「いただきます。……美味しい。」
海鮮丼やお吸い物の味付けが完璧だ。ちゃんと鮮度もいいし、イクラなんかは漬け具合がベストだし。
「ウニまであるし……贅沢だなぁ」
「ミョウバン使ってないから苦味もないしね。これ」
ミョウバン使わないと溶けていくんだっけ?ウニって。だから市販品は美味しくないって結構前に海莉が言ってたような…
「そうそう。…どうせ食べるなら良い奴を優成くんには食べて欲しいし。」
「…よく俺の事をそこまで考えてくれるよな、海莉って」
「…好きだし。」
「?ごめん、よく聞こえなかったんだけど……」
「大切だしって言ったの。」
そこまで大事にしてもらえてると嬉しい…けど、返しきれないんだよなほんとに。
「そばに居てくれればいいよ。…ずっとね」
「それぐらいでいいならお安いもんだけど」
それからもご飯を食べながらどうでもいい話から割と大事なお仕事のお話まで、色々と話していった。
「いっぱい食べたね〜」
「…ありがとね、海莉。美味しかった」
「優成くんは今までの人生の分いっぱい楽しんでいっぱい美味しい物食べて、それでようやくイーブンだから。また連れてってあげるね?」
頻繁にこんなとこ連れてこられたら舌が肥えるからたまにだな。
「明日からまた頑張らないとな〜」
「忙しくなるもんな、海莉。」
俺はある程度聞いてるから分かるが、海莉結構忙しくなるんだよな。
こんなに纏まった時間が取れるか分からないから今日出かけたかったんだろうし。
「…んーむ、何か海莉にご褒美でも考えとこうかな」
「それは楽しみだねぇ。優成くんのプレゼントでもいいよ?」
俺をプレゼントってなんじゃいな……
「ありがとね、優成くん。」
「どういたしまして。……早く帰るよ。」
待って、待って〜と追いついてきた海莉の手を取って歩き出す。
……たまにはこういうのもありかもしれんな。今度は俺の方から考えてみよう。
それではまた次のお話で会いましょう〜




