第127話〜睡眠〜
それではどうぞ
「何歳ですか〜」
怒ってますか〜?とか色々聞いてるのがわかる。うん、頑張れ海莉……
「オーブは無さそうだけどなぁ。」
・呑気に安全圏でオーブ見てるのはこいつです
「……みんなも見たいでしょ?」
・それはもちろん!
・当たり前だよなぁ!
何をとは言わない。が、伝わってくれたようだ。
「ひゃああああああああああああ!」
「どうした?何かあったの?」
「殺すって、殺すって言われた!!返事かえってきだあああ」
「ああ、なるほど。証拠だね、さすが!」
「うううう……こわい……」
ちょっとやりすぎた…??まあいいか。ここからは俺がやればいいし。
「一旦戻っといで。」
「戻ってきた。……こわかった」
「お疲れ様。…じゃあちょっと指紋とEMFと本の確認してくるから待っててもいいよ」
オーブと、プロジェクターに幽霊写ったら教えてねとだけ言っておく。
「指紋……なさそう?触ってないのかな?」
・指紋、60秒で消えるようになったで
「嘘?マジで?…結構大変だな指紋とるの。」
知らんうちに大変になってますねぇ。
「本……は、ありか。氷点下とかでてくれると話が早いんだけど…」
そう簡単にはいかなそ…あれ?十字架燃えてない?
・燃えてる
・防いでるね
・少なくとも1回は来てたと…
「1回どころか3回来てない?1個燃えカスみたいになってるんだけど…」
1個の十字架で防げるのは2回まで。もう既にひとつが燃え尽きているということは……
「ボタン、あの短期間で3回ハントされてたのか。……めっちゃ怒ってるじゃん……」
そりゃ殺すぞって言われますわ。だって殺しに来てるんだもん。
そんなことを思ってたら手持ちのEMFが反応しだした。…3か。3はまだまだなんだよな。
「ちょっとカメラの位置動かしてみるか?ここだと見えにくい?…ちょっとカメラ動かすね〜ボタン」
「は〜い。」
…この辺におきましてっと、
「あ、ウルフくん!オーブ!オーブうつった!」
「お、ナイスだ!よし帰ろう!証拠は揃っ…っ、まじか」
どうやら十字架が全部消滅したようで。ハントモードに入られた。
てかマジでシャレにならねぇ。出現位置の部屋から近すぎて隠れる時間があるかどうか。
ひとまずここで様子を見よう。バレてたら…ヤバいけど。
…こっち来てない?真っ直ぐ来てるよね?ね?
「やばいバレてるこれどうしよう。」
幸いぐるぐる回れるところだから終わるまで我慢すればいいけど……
右に行く。ゴーストがついてくる。
左に曲がる。ついてくる。
…前からゴーストが来る。反転、全力疾走。
そうして鬼ごっこを続けていると、ふいにゴーストが消える。
…終わったか。体感、長かった……
「急いで出ないと。こっちこっち」
「ウルフくん!!大丈夫!?」
「大丈夫大丈夫。ちょっと鬼ごっこしてただけだから」
ゴーストと鬼ごっこって何…?と呟いている海莉を無視して、車の中に逃げ込む。
俺だって鬼ごっこしたくてしたわけじゃないからね。
「メアー?かな」
「だな。ゴーストルームが暗かったからあんなに凶暴だったのか…」
部屋が暗いと攻撃性がめちゃくちゃ高くなるゴースト…だった、はず。
「怖かった〜」
「楽しいな〜やっぱり。うん。」
「……ウルフくん、後で怒る」
んな理不尽な……と言いつつ、次を開始する。まだまだやってくぞ〜!!
「楽しかった!」
「そりゃよかった。」
1時間ほど遊んだが、最後の方は海莉も慣れてきてかなり楽しんでくれた。
それから、海莉はハントモードを体験してない。なぜって?…海莉が家から出た瞬間にハントが始まるんだよなぜか。
まるでゴーストが見計らっているかのように……
「またやりましょう」
「ウルフくんとは遊ぶけど、このゲームをやるっていう約束はできない…」
怖いものは怖いらしい。残念だ、こんなに楽しいのに。
「じゃあみんなお疲れ様〜また会いましょう」
そう言って配信を終わる。……ふう。楽しかったな。
パソコンを閉じてゆったりしていると、海莉が部屋にやってきた。配信終えたんだろう。
「………………………………………………」
「…どうかした?の?」
まさか怒ってる…??と思い恐る恐る聞いてみる。
「………………………寝る。」
「え?」
「一緒に」
「え、な……わかりましたかしこまりました直ぐに準備致します」
目が、怖い。怒っては無いのだ。怒ってはないが虚無なのだ。目が。
「……ご、ごめんな?海莉。ほんとに…」
「怒ってはないよ。ただ…ちょっと、うん、思ったより怖かっただけ…」
「そ、そっか。よしよ〜し。大丈夫だよ〜」
慰めにかかる。うん、悪いのは俺だし……
……ん?今海莉、笑ったような……気のせいか。疲れてるのかな。
そっと俺の胸に顔を埋めてくる海莉。
「夜、覚悟してね…」
「…何をするおつもりで?」
「危ないことは何もしないよ?駄目なら私の望み通りになるだけだし」
しれっと怖いことを言っている海莉。…やはり、やりすぎたのかもしれない。
「入らないの?」
「入る。入るけどちょっと覚悟をください…」
同じ布団で寝ること自体めちゃくちゃ緊張するのに、海莉はこの時期にも関わらず薄着だし……
「し、しつれいしやふ。」
「変な言葉になってるよ。…落ち着いて、大丈夫だから」
布団に入って、海莉に背中を向けようとしたところ海莉に妨害された。ダメらしい。
「…どうしたの、かな?」
近くで囁かれる海莉の声が、いつもと違う魅力を引き立てる。
「な、なんでもない。…ほら、寝るよ。」
「まだちょっとだけ……お話しよ?」
うわっと、頭を抱き寄せないでくれ。
「目、開けてもいいんだよ?」
咄嗟に見ないように目をつぶった俺に対して、海莉がそう追い討ちをかける。
いや、開けたら見えるよてか一瞬見えたよ…?服はちゃんと着よう…?
「海莉さん、ちょっとこういうのは……」
刺激が強いです。俺、慣れてない。こういうの。
「ん〜?別に我慢しなくてもいいんだよ?」
「流されてするのは俺が嫌なんだけど……」
そういうのはちゃんとやりたいし、流されるような男だと思われたくもないし。
「優成くんはそうかもしれないけど…私はいいんだよ?」
耳元で囁かれる爆弾のような言葉。それに含まれる艶やかさ。普通の人間では多分耐えきれなかっただろう。
かん、べん、して、くれ。
その後もあの手この手で俺の理性を崩壊させてこようとする海莉に俺が耐えられたのか……
とりあえず、ここ数年でいちばん疲れたとだけ言っておこう。
それではまた次のお話で会いましょう〜
11月5日 後書き追加
前回パートにて、ウルフくんが配信中なのに海莉と言っている件についてですが………
思いっきりミスです、すみませんでした!!いや、そういう展開も考えてはいますが十字架のくだりはモロにミスです。
で、まぁ色々考えました。ミスだけどもういっその事物語に取り込んで利用しちゃうか…?とか。考えたのですが…
ミスはミスですからね、意図してなかった訳ですから全力で謝罪させて頂きます。申し訳ありませんでした。
それから今回のことを感想欄で言ってくださった方、ありがとうございます。そして自分で気付けなくてすみません。ほんと、なんて謝ればいいんでしょう……
訂正前→「海莉は」 訂正後→「かい…ボタンは」
名前呼びそうになった、危なかったという風な感じで訂正させていただきます。
以後こういうのは気を付けますね…違和感を覚えさせてしまい申し訳ないです。
あと、感想で教えてくれたり誤字してるとそっと訂正を送ってくださる方々、いつもありがとうございます。めっちゃ助かります。これからもご愛読よろしくお願い致します…




