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◆2-2-021-0018
石材で造られた廊下に靴音は響いていた。せかせかとした早足を保ち、足音の主がひとり暗い廊下を進む。積み上げられた石の壁の上部には、灯りである松明が等間隔で備え付けられ、人物を照らしては薄闇に返す光景を幾度も繰り返した。
目的の場所に人物はたどり着いた。使い古された木製のドアを、力任せに開け放つ。
懐かしい、嬉しい。……悲しい、つらい。感情の何もかもが、とめどなく押しよせた。
それから、ひとつの想いが心を占める。
――きみに、逢いたかったんだ――
心の奥がじんわりと温かくなった。なぜだろうか。いや、理由はわかっている。
厄災から四五年。人類の夢だったAIオーロラとのコンタクトが、ついに始まろうとしていた。






