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全能で楽しく公爵家!  作者: 二十口山椒
王都でも渦中

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85/112

85:『狭間の指輪』の真実。

 クレアにお願いされて俺が最初に作っていた無音のアニメにも音声をいれると、俺とクレアがアテレコしていたものとは違い、百%戦闘シーンだったからまたしても見入っていたクレア。


 それをしているといい時間になって、俺は宿に戻ることにした。


「クレア、僕はもう帰るよ」

「えっ……もう?」


 俺の言葉を聞いて楽しそうな表情から死にそうな表情に変わったクレアを見ると何だか心が痛むのだが。


「また会えるよ」

「……前は会えなかった」

「うっ」


 不貞腐れた顔をしているクレアに背後から刺された気分になる。


 一年ほど会えなかった時期があるからそこを突かれたら痛い。


 でも俺に不可能はほぼないわけで、会おうと思えば会うことはできる。自重していただけ。


 メッセージを交わしていただけでクレアが満足してくれないのは当然か。


「分かった。最低でも一週間に一回は会えるようにするよ」

「どうやって?」

「それは魔道具を使って。僕はそういう魔道具を作ることができるから」

「……できたとしても、私のことを忘れているかも」

「そんなことはないよ」

「どうしてそんなことを言い切れるの?」

「だって、口説き落としてまで手に入れた人をどうして手放さないといけないの?」


 俺の眼差しに赤くした顔をそらすクレア。


 そんなクレアのあごに手を添え、優しくこちらに顔を向ける。


「あっ……」


 そんな声が色っぽい目をしたクレアの口から聞こえ、可愛らしい唇に自身の唇を重ねた。


 わずか二秒くらいだったが、かなり印象に残るものだった。


「これで許してほしいな」

「……うん」


 何だかこれをしていると悪い男のように思えるんだが。


 しかもこんなことをするとか恥ずかしさで今にものたうち回って穴に入りたい気分になるが、それはほぼ全能で抑え込む。


「連絡はすぐに入れるよ」

「うん……私からもしていい?」

「そうしてくれないと寂しいよ」

「なら、そうする」


 まだ少し名残惜しそうな顔をしているクレアを背に、俺は俺が泊まっている部屋に戻った。


 というか七歳に手を出すって大丈夫だよな? あっ、俺は五歳だった。精神年齢を加味されたらアウトだったね。


 それから、魔道具で移動するよりも鉄道やら飛行船やら交通手段を開通した方が色々と便利だ。


 交通革命はやはり色々な場面に繋がってくる。それに農業革命も産業革命の一因になる。


 ただ、前世の世界とは違ってこの世界には魔法があって、魔道具があって、魔素がある。エネルギー革命自体は起きない。


 ……魔道具に組み込む魔方陣を公開して、それをみんなが真似できれば、少しは楽だろうが。


「おかえりなさいませ、アーサーさま」


 部屋に戻ると無表情のベラが俺に向かって綺麗なお辞儀をしてきた。


「ただいま、ベラ」


 一回目のアニメを見せてから何も反応がなかったからクレアと一緒であのアニメに夢中になっていたのだろうか。


「随分と、お楽しみでしたね」

「そうかな?」

「私があれほど見ていると申しましたのに、随分とクレアさまと仲良くされていたようで」


 メッセージでも面と向かってでもチクチクしてくるな。


「ごめんね、ベラ」

「何を謝られておられるのですか? 私は怒っていませんが」

「嫉妬しているの?」

「少しは嫉妬をしています。ですが特に気にしていません」


 絶対にウソだ。だってこんなにも私怒っていますオーラを纏っているんだから分かれと言っているようなものだ。


 でも、何だかクレアとイチャイチャしていたことを怒っていたというよりも、他のことを怒っているような気がするな……。


「もしかして、僕とクレアが声をあてていたことに怒ってる?」


 アニメをすぐに見せなかったことはたぶん怒っていないと思うから、残るは声優の件しかない。


「はい」


 素直に認めてくれたな。素直に話してくれないから認めてくれないのかと思った。


「怒ってしまい、思わずスザンヌさまにアニメを送ってしまいました」

「えっ」


 えっ、何やってんのこのメイド。


 別にずっと秘密にしているわけでもないし、何なら声優を探すために教えるつもりだったがもう少し時間が欲しかったのだが。


「……ベラ、僕に構ってほしいからそんなことをしたの?」

「それもあるかもしれません」


 直接的な理由は言ってくれないのか。ほぼ全能を使えば分かることだが、俺自身では答えは出すことはできない。


「何でやったのか、教えて? ベラのことを大切に思っているから、ベラが考えていることを教えてほしいな」

「……それは、クレアさまよりも大切に思われているのですか?」

「その質問はずるいよ。二人は別々の人なんだから、比較することなんてできないよ」

「ですがアーサーさまの中でどちらが大切かお決めになられるはずです」

「そんなことを聞いて、どうしたいの?」


 ベラから少しの焦りが感じてくる。


「……アーサーさま、私とアーサーさまでは二十ほど歳が離れています」

「そうだね」

「アーサーさまの婚約者さまたちと見比べた時に、どうにもならない年齢という壁が出てきます。アーサーさまが二十歳になれば、私は四十ほどになってしまいます。……ですから、せめて年齢の差を活かしてアーサーさまの色々な初めては、私が頂きたいと思っております。そうでなければ、アーサーさまに私を刻まれないと、そう思ってしまったからです。……私のワガママを、お許しください」


 何だ、そんなことを思っていたのか。


 てっきり何か思い込んでいたのかもしれないと思っていたから少し安心した。


「ベラ、僕は年齢なんて気にしないよ」

「それは今だから言えることです。年を重ねていけば変わるかもしれません」

「そんなことはないよ。ベラのことをこれからずっと大切に思っているよ」

「そんなこと信用できません」

「僕のことが信用できないの?」

「今は信用しています。ですがこれからのことは分かりません」


 まあ確かに五歳と二十くらい歳が離れていたらこう思うのは当たり前か。


 しかもそれで他の若い女の子と遊んでいるところを見ると。といったところなのか。まあ俺が悪いな。


 ……うーむ。これを教えるのはあまり気が進まないのだが、ベラが悩まなくていいのなら教えるか。


「ベラ、これから教えることを誰にも言わないって約束してくれる?」

「……内容によります」

「約束して」

「……はい、約束します」


 これならベラも誰にも言わないだろう。


「僕が作った『狭間の指輪』を使えば、若返ることが可能だよ」

「……あれは外見を変化させるものであって若返るものではないのではありませんか?」

「実際はそうじゃないよ。狭間の指輪は、姿を幻想で誤魔化しているんじゃなくて、本当にその姿になっている。だから変身してそのままにしていれば、そのままで生きていられるんだよ」

「……はい?」

「とは言ってもちゃんと安全装置は着けていたから、本人が望まないとそのままの姿にはなれないけどね」


 俺の暴露を聞いたベラは数秒固まってしまったが、すぐに復活する。


「待ってください、アーサーさま。そんな恐ろしいものを使っていたのですか?」

「そうだよ。変化だったら見破られる可能性があるから、こうしたんだよ」


 まあ俺クラスになれば、魂と肉体の誤差から見破ることは可能だ。


「むしろこれを使えばどんな状況にでも変身できるってこと。怪我をすれば万全な状態、病気をすれば健康な状態にできるよ」

「……若い状態をずっと、保てるということですか」

「うん、そうだよ。ベラはそんなことをしなくていいと思っているけど、若さが必要なら使えばいいよ」


 それをするということは、人間性を捨てるということになる。だからあまり教えたくはなかった。


 でもベラが悩んでいるくらいなら教えた方がいいと思ったから言った。


「もちろん、ベラがそれをするのなら僕もずっと若くいるつもりだよ」

「……アーサーさままでお付き合いする必要はありませんよ」

「何を言っているの? そこまで悩んでくれているんだから、付き合うのは当たり前だよ」

「そう、ですか……少し、考えさせてください」

「うん、答えが出たら言ってね」

「はい、必ず」


 どういう選択肢をするのか、気長に待っておくことにしよう。


 案外、俺が誰かとイチャイチャしているのを見たら速攻で決めるかもしれないな。

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