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全能で楽しく公爵家!  作者: 二十口山椒
王都でも渦中

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47/112

47:魔物。

 馬車に揺られながらアニメや魔道具で時間を潰していると、日が落ちて行くのが分かった。


「ねぇ、日が暮れた時は野宿?」

「近くに村や町がなければ野宿ですが、今回のルートではちょうど町に当たるはずです」

「そこで泊まるの?」

「はい。前もって連絡しています」


 まあ野宿だと体を休ませれないから極力町を経由していくのだろう。


「よく考えたら、初めての外泊だ!」

「そうね。何なら王都についたら宿じゃなくて私の家に来る?」

「グリーテン、王都に家を持っているの?」

「えぇ、同居人がいるけれど、家は十分に広いわよ」

「それじゃあ――」

「アーサーさま、少しお待ちください」


 グリーテンと会話しているところでベラが俺の口を手でおさえて言葉を強制的に遮ってきた。


 そしてベラとグリーテンが俺に聞こえないようにコソコソと喋っているようだが、俺の耳にはしっかりと聞こえている。


「グリーテンさま、どういうおつもりですか?」

「どういうって、アーサーを家に招待するつもりだけど?」

「まさか七聖法のお一人が五歳の男児を家に誘うとは思いませんでした。節度を弁えてください」

「いいじゃない、アーサーがその気なら少しくらい味見をしても」

「いいわけがありません。確かに少し五歳とは思えないくらいに精神が成長しているとは言えまだ五歳です。それにあなたのようなおばさんとは、アーサーさまが可哀そうです」

「あら、言うじゃない。なに? あなたも狙っているの? それなら二十歳くらい離れているからあまり変わらないわよ」

「百以上と二十では変わります。一緒にしないでください。そもそも男児にそういう目で見ているグリーテンさまはどうかと思います」

「歳なんて関係ないわよ、すべて気持ちよ」


 何やらベラとグリーテンが真剣に会話しているが、俺はどうしたらいいのだろうか。もうそろそろで終わってほしいのだが。


「町が見えて来たぞ~!」

「町だって!」


 外から聞こえてきた言葉で俺は食いついて話を強制的に終わらせることにした。


「後ほど、アルノさまとスザンヌさまを交えてお話しましょう」

「いいわよ、それで私とアーサーの関係をハッキリとさせてあげるわ」


 俺のいないところで話すのならもう勝手にしてくれ。とりあえず夜はゆっくりと休めそうだ。……いや、姉さんたちの相手をしないといけないのか。


 前世だと何も女っ気もなく生きていたからこうして女性に時間を差し出せるのは嬉しいことだ。


「あら? ……町に魔物がいるわね」

「魔物!?」


 グリーテンがそう言うんだからそうなのだろう。ランスロット家からほぼ出たことがない俺だから、魔物を見たことがなくて興味がある。


 知識として魔物を知っているが、この世界は魔物に脅かされていない世界だ。


 でも強い魔物はいるし、人間が束になっても勝てない魔物、ドラゴンもいる。でもそいつらが人間よりも人間を殺しているというわけではない。


 前世で言うならば、野生動物みたいなものだな。野生動物が少し凶暴化しているような、そんな感じだ。


 前世でサバンナみたいな魔物が暮らしている場所も存在している。その中には人里を襲い掛かってくる奴らもいるが、人類が結束するまでもない。


 もちろん、魔物の被害がある場所はあるから、それを対処するのが冒険者だったり騎士の仕事だ。


 国一つで対処できない魔物が人間を滅ぼそうとしたら、世界は一つになるかもしれないがそうそう起きるわけがない。


 話はそれたが、そこら辺に魔物はいるが人が暮らしているところにはあまり近づいてこないからこそもの見たさで見てみたい。


「護衛たちが対処するでしょう。アーサーさまはここから動かないように」

「ちょっとだけ見てみたいなぁ~……」

「ダメです。危険ですのでおやめください」

「少しだけ!」

「魔物を見たところで何もありません」


 くっ! ベラにこういうことは無理か! でもベラは俺に甘いところがあるからもう一押しでいけるかもしれない……!


「アーサーの実力なら魔物に後れを取ることはないわよ。見たいのなら行かせてあげなさい」

「あなたはもう少し危険を考えるべきです」

「私とあなた、それにアーサーなら危険なことなんてないわよ」

「もしもの時があるかもしれません」

「そんなことを言ったらキリがないわ。少しくらいアーサーの自由にさせてあげなさい」


 外部のグリーテンはやはり自由にさせる派であるが、お父上様やベラは危険な目に合わせない派だからあまり意見は一致しないようだ。


「グリーテン! 手伝ってくれ!」

「はーい」


 外からお父上様がグリーテンを指名してきた。


 えっ、グリーテンが行くなら俺も行きたいんだけど……。


「アーサー、一緒に行く?」

「いいの……?」

「ダメです」


 グリーテンの申し出は非常にありがたかったが、ベラに流し目をしたところすっぱりと切られた。


「いいじゃない。私とあなたがいれば問題ないんだから」

「しかし……」

「アーサーの我がままをある程度聞いてあげないと、何をしでかすか分からないわよ?」

「……それは」


 思うところがある、というか俺がやったことがあるから思うところしかないベラ。


「……分かりました。アーサーさま、くれぐれも危険なことはしないでください」

「分かった!」

「それじゃあ行きましょう」


 ベラの許可を得たことで、グリーテンを先頭に馬車から出て町の方に向かった。


「アーサーさま!? どちらに向かわれるのですか!?」

「ちょっと散歩!」

「危険です!」


 馬車からおりると騎士団の騎士さんたちが馬車の周りに残っていたが、それを気にせずに騒ぎになっている町に向かう。


「あれは、ゴブリン?」

「よく見えるわね」


 こちとら普通に見ているだけでもどこまでも見える視力を持っているんだから、これくらいの距離なら普通に分かる。


 薄緑色の肌、尖った耳、ほとんどの固体は小さな体をしている魔物、ゴブリンが集団で町を襲っていた。


 基本は腰に布を巻いているだけだが、その中には防具を着たり武器を持っている個体が存在している。


「アーサー!?」


 町の入り口付近で銀の剣でゴブリンを一撃で斬り伏せているお父上様が俺の姿を見て驚いていた。


「あら~? アーサー来たのね~?」


 お父上様の隣でほわほわとしながらもしっかりとゴブリンを美しい動作で斬り裂いているお母上様はやはりマイペースだった。


「アーサー、戦いたいの~?」

「あー、うん!」


 戦うつもりはなかったけどお母上様の申し出は非常にありがたかった。近くでゴブリンを見れるのだからこれを逃す気はない。


「スザンヌ! まだアーサーには魔物との戦い方は」

「いいじゃない~、あなたと私、それにグリーテンとベラがいるんだから守ってあげれば~」

「だけどね……」

「もう少し~、信じてあげましょう~?」

「……分かったよ」


 お母上様の説得に折れたお父上様。こんなに簡単に折れるとはさすがはお母上様だ。


「アーサー、危なくなればすぐに引かせるよ」

「うん、僕に任せて!」


 お父上様にそう言われて俺は金色の剣を作りながら前に出る。


 俺の背後にはいつでも俺を助けれるようにお父上様、お母上様、ベラ、グリーテンがいる。


 だが俺を守るよりも町に入り込んでいるゴブリンを倒した方がいいと思うが……俺のせいでこうなっているんだから早めに対処しよう。


「聖剣よ!」


 俺が作りだした金色の剣を掲げてそう叫ぶと、金色の剣から強い聖なる光が照らし出され、暗くなりつつある周囲が明るくなる。


 そして聖なる光を受けたゴブリンたちは動きが鈍くなっていた。


「ゴブリン! 消し炭にしてもいい!?」

「構わない! むしろ消し炭にした方が安全だね!」


 お父上様に一応そう聞くと、そう返ってきたから構わず聖なる光を強くして、ゴブリンの方に走りだす。


 固まっている三体のゴブリンが近づいている俺に気付く前に、すべて体を真っ二つにする。聖なる光を纏っていることで、ゴブリンの体は斬られただけで跡形もなく消えている。


 そして町の中に入るまでにゴブリンを残さずすべて消していく。この聖剣で少しでも斬られた魔物は聖なる光で致命傷を逃れられず、消えてしまうように設定してある。


「あの聖剣、ほしいわ!」

「またどれだけすごいものを作っているん……」


 グリーテンは再び俺の魔道具を見て目を輝かせ、お父上様は少し呆れた様子を見せていた。


 町の中に入るとすでにゴブリンに襲われている人たちがおり、動きが鈍くなっているとはいえ人を襲おうとしているゴブリンがまだいたから、町全体にもっと強い聖なる光を覆った。


 そのことで一気にゴブリンたちは活動を停止させた。


 魔物だから聖なる光が効果がある、というわけではなく、ゴブリンに有効な聖なる光を生み出しただけに過ぎない。人間に有効な聖なる光も存在している。


 ゴブリンが停止している間に町を襲っているゴブリンたちを一匹残らず消し去った。


「ふぅ……」


 いやぁ、前世ではアニメの中の存在のゴブリンと戦えるとは思っていなかった。


 近くで見たが本当にゴブリンだなぁという感情しか出てこなかった。特に人型だからとかで消したことで暗い感情は湧き出てこなかった。


 その後、町の人には感謝されお父上様にも褒められた。勝手に馬車から出たことは怒られたが。


 グリーテンからのその剣頂戴の圧が強かったから、素直に渡した。


 だがグリーテン、俺がそんなにポンポンと何でもタダであげているとは大間違いだ。このお礼は必ずその身でしてもらうよ……!

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