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全能で楽しく公爵家!  作者: 二十口山椒
王都でも渦中

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45/112

45:アンリ・ペンドラゴンへのヘイト。

 屋敷を出ると街の人たちが馬車に向けて手を振っているのが見えた。馬車の窓ガラスにカーテンがあるがその隙間から見ることができた。


 その中には木箱を積んでこちらを見ているアリス、アヤ、グレゴリーの姿があって少し笑ってしまった。


 そんな街も抜け、ついに今世で初めての外に出ることができ馬車の窓から外を見る。


 前世では田舎以外は建築物があったが、ここでは外に出たら広大な大地が広がって少しテンションが上がってしまう。


「うわぁ……」

「あぁ、アーサーは外に出るのが初めてだったわね」

「はい、今まではアルノさまに止められていましたから」

「本当に過保護よね。それくらいのことをさせてあげればいいのに」

「まだあの部隊の準備が整っていないとか」

「あー、あれね。でもアーサーに必要かしら?」

「それは何とも言えませんが……」


 俺が外に関心を向けている背後でグリーテンとベラが話していた。


 部隊って何のことだ? 俺専用の騎士団みたいな感じか? それなら確かにいらないな。


「ねぇベラ」

「はい」

「王都までどれくらいかかるの?」

「馬車で三日くらいですね」

「そんなにかかるの?」

「はい、飛行船なら数時間でたどり着けますが、一直線にはいけませんから」


 あぁ、そういうことか。前世なら道路が整備されていたが、前世とは違い道が整備されていないし山を越えないといけないという場合があるのか。


 それなら魔力で動く魔力自動車とかバイクを作り出しても売れそうだ。いや、道が整備されていないから新幹線とか魔力機関車で線路を作った方が早いか。


 どうせなら飛行船を生産してもいいし、何なら空飛ぶ列車を作ってもよさそうだ。そういうものはロマンがあるな!


「あれ? グリーテンは転移魔法を使えるんだよね?」

「えぇ、使えるわよ」

「それって移動制限とか人数制限とか条件はあるの?」

「条件らしい条件は見える範囲か、感知できる場所、マーキングされている場所しか飛べないというところかしら。魔力があれば基本どれだけ人数がいても問題ないわよ」

「王都までこの人数で行くこともできるんだよね?」

「それはもちろん」


 それならどうして転移魔法を使わないのか、という表情をグリーテンに読み取られていたようだ。


「こうして馬車で移動するのもいいものじゃない? それともアーサーは嫌いかしら?」

「嫌いじゃないよ。こうしてまったりするのもいいものだと思っているよ。これが初めてだけどね」

「旅はそういうのがあるからこそいいのよ」


 前世では車で移動している時とか好きだったし、こうして移動しながら風景を見ているのもいいものだ。


「それにしても、どうしてこの馬車分けになったの?」


 別にお父上様とお母上様のラブラブなところを見せられるのはイヤだからこの馬車分けで良かったのだが、普通に疑問に思った。


「アルノさまたちは重要なお話をしているみたいなのでこういう馬車分けになりました」

「重要な話?」

「はい。アーサーさま関することみたいです」

「僕の……それって僕がいなくてもいいのかな?」

「その辺りは大丈夫かと。大人な話ですから」

「大人な話って使いやすい言葉よね。どうせあのガキのことで話しているのよ」


 お? グリーテンが『あのガキ』のことを思い出したのか珍しく嫌悪な表情を浮かべた。


 ……この流れ、もしかしてグリーテンもそれに絡んでいる口の人ですか?


「あのガキって、アンリ・ペンドラゴンのこと?」

「えぇ、そうよ。アーサーに比べたら才能の欠片もない女を見下しているガキのことよ」

「会ったことがあるんだ……」

「ランスロット家に家庭教師をする前はペンドラゴン家の家庭教師をしていたのよ。あなたもいたわよね?」

「……えぇ、まあ」


 ほぉ、初耳だ。グリーテンはアンリ・ペンドラゴンに会ったことがあるのか。それにベラも前は王都にいたのか。全く知らなかった。


 でもベラは何やら言い淀んでいるところを見るに、何か突っ込まない方がいいのだろうか。


「確か、アンリ・ペンドラゴンのメイドをしていなかったかしら?」

「昔の話です」

「その割にはガキに好かれていたようだけど?」

「昔の話です」

「あのガキのことだから、あなたも――」

「昔の、話です」

「……そうね、ここでするような話じゃないわね」

「ありがとうございます」


 ふーむ、何やら二人して分かっている雰囲気を出すのはやめてほしいのだが。


 俺、というよりは俺の周りにアンリ・ペンドラゴンと縁がある人が多い気がする。すっげぇ気になるんだが、どうせ碌な話じゃなさそうだから突っ込まない方がいいよな。


 だが! うちの完璧メイドであるベラに暗い顔をさせるアンリ・ペンドラゴン許すまじ! もうこれは死よりも屈辱的なことをするしかないようだな……!


「あなたは来て良かったの?」

「私はアーサーさまの専属メイドです。私情で仕事を休むわけにはいきません」

「でもあのガキに会ったら何を言い出すか分からないんじゃないの?」

「……ハッキリとお断りするつもりです」

「それで満足するかしら? あいつ何でもしてくるんじゃないの? それこそランスロット家を敵に回してでも」

「ランスロット家を敵に回したとして、それでブリテン王国が回るとは思いません。……それにもしランスロット家に迷惑をかけるようなことがあれば、私は――」

「ダメだよ! ベラ!」


 何やら不穏なことを口に出そうとしたから俺は口を挟んだ。


「ベラは僕の専属メイドなんだから、僕から離れることなんか許さないんだから!」

「で、ですが、メイドが主に迷惑をかけることなど――」

「関係ないよ! ベラはもうランスロット家の一員なんだからベラに何かしようとしてくる奴は僕がやっつけてあげる!」


 アンリ・ペンドラゴンがベラにどれほど手を出してくるかは分からないが、俺のメイドに手を出して生きていられると思わないことだな?


「アーサーならやるわよ? お優しい主さまで良かったわね」

「……そうならないように動きます」

「もし裏で何か言われて僕から離れようとしても、ベラを逃がさないからね!」

「うっ……」


 少しヤンデレみたいなことを言ってしまったが、ベラが怯んだから良しとしよう。


 ここはもう俺がどれだけ本気かを見てもらうために一つ魔道具を作ることにした。


 ルーシー姉さんに作った聖鎧の籠手よりもごつい銀の籠手を作り上げ、左腕にはめる。


「あ、アーサーさま!? い、一体何を!?」

「なにその世界を滅ぼすくらいにヤバい魔法陣が組み込まれている籠手は!?」


 本能で焦っているベラとめっちゃ目を輝かせて籠手を見てくるグリーテン。


 俺は窓を開け放ち、籠手に集中すると高エネルギーの塊が音を立てて力を溜め始めた。そして俺が握れるくらいの塊になった時、空へと撃ち放った。


「アンリ・ペンドラゴンッッッッ!」


 忌々しい名前を言いながら放った光線は空へと向かい、宇宙まで行きかねないからその前に爆発させると大きな爆発音と共に辺りに光を放った。


 そして爆発が引いた空を見ると、次元が歪んでいたがすぐに修復された。


「次元の狭間が姿を現すほどの威力、すごいわね……」


 素直に感心しているのはグリーテンだけで、ランスロット家の馬車の一行はすぐに止まり警戒態勢に入った。


 すぐに俺の元にお父上様が来た。


「アーサー、大丈夫!?」

「僕は平気だよ」

「グリーテン、辺りの捜索に入るぞ」

「そんなことしなくても大丈夫よ。さっきのはアーサーがしたことだもの」

「……なんだって?」

「うん、僕がしたよ。アンリ・ペンドラゴンがベラに何かした時にこうなるんだと警鐘を鳴らしただけだよ!」

「……どういうことかな?」


 事態が読み込めないお父上様に、全員が馬車を降りてグリーテンが説明に入った。


「そういうことか。とりあえずアーサーのそれは没収だ」

「はーい」

「それからベラ、キミをもう二度とアンリ・ペンドラゴンさまの元に行かせることはないと言ったのだから心配しなくていいよ。もうすでに手は打ってある」

「ありがとうございます」

「アーサー、ベラを大切に思っていることは分かるけど、暴力に頼ってはいけない。それにランスロット家の力を甘く見てはいけないぞ」


 甘いなお父上様、それでも俺はアンリ・ペンドラゴンをやるつもりだ。


 暴力は時として必要な場面は必ず訪れる。戦争だってそれなんだから。

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