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全能で楽しく公爵家!  作者: 二十口山椒
全能の爆誕

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39/112

39:秘密基地での出会い。

 アリスと手を繋ぎながら、数多の路地裏を通ってきたが、どこに向かっているのかが分からなかった。


 俺が想像している秘密基地は、なんかどこか廃墟になった場所とか、人が寄り付かない少し開けた路地裏とかそういう場所だ。


 そういう場所に向かっているのかと思いきや、路地裏の何の変哲もない場所で止まった。


「ここ」


 アリスが示した場所は木箱が置かれており、木箱の下に階段があることに気がついた。


 アリスと一緒に木箱を少し移動させると、階段が見えた。


「入ったら木箱を元に戻して」

「うん」


 アリスが階段を先におり、俺は魔法で木箱をしっかりと戻してアリスの後に続く。


「トーチ」


 真っ暗なため、俺は火の魔法で灯りをつけた。


「魔法?」

「そうだよ。暗くて危ないと思ったから」

「すごい。初めて見た」

「そうなの?」

「私の周りでは誰も使えるところを見たことがない」


 あまり魔法の習得率は教えてもらったことがないけど、この言い方だと低そうだ。


 俺の立場では魔法を覚えている人が周りにいて当たり前になっているが、俺は公爵家なんだから全く認識の差が違うのは当然か。


「ここは、元々あったんだよね?」


 こんなところを誰かが作ったなんてことはあり得ない。


「そう。私がたまたま見つけれた」


 その魔眼で見つけたのか。それにしても、ここまで隠密の魔法をかけられているということは、まず一般人が作ったのはあり得ない。


 ということはそれなりに魔法が使える誰かが何かの目的で作ったわけだが、どういう目的だ? アリスが秘密基地と言うくらいだから、何度も来たことがあってそいつらと遭遇したことがないのだろうな。


 運がよくて遭遇していないのかは分からないが、ここは使っていなさそうだ。


「ここが私たちの秘密基地」

「おぉ……」


 階段をおりた先には開けた場所に出て、真ん中にあるランプを付けるとテーブルやベッドを置いている少しだけ生活感のある場所なのが見えてきた。


 秘密基地にしては立派で、住居にしては物足りない感じだ。


 ここはアリスだけが使っているわけではないのだろう。さっきアリスが私たちって言ってたし。


「秘密基地を使っているのはどれくらいなの?」

「私を入れたら三人」

「へぇ、幼馴染か何か?」

「うん」


 絶対に男の子が一人いそう。こんなところがあったら目を輝かせるだろ。


 そういうのは世界が違っても一緒だろうな。


「ちょっと見て回ってもいい?」

「……お腹空いた」

「えっ、さっき食べたよね?」

「……お腹空いた」


 ……この子、今までよく生きてこれたな。餓死する勢いだろ。


 今から買いに行くのも少しメンドウだから、袋に入ったビスケットをポケットから取り出すフリをしながら創造して作った。


「はい、ビスケット」

「……ポケットから出てきた?」

「そうだよ。これならあるけど、食べる?」

「食べる」


 俺からビスケットを受け取るとすぐにバクバク食べ始めるアリス。


 この勢いだとすぐになくなりそうだから三袋ほどテーブルの上に置き、俺は秘密基地の中を散策する。


 見て回るのはただの秘密基地ではない魔法を見つけたからだ。


 まずここは四角い一室になっているように見えるが、秘密基地の中にまた秘密の通路が俺の目には見える。


 どこかに繋がっているみたいだが、その方向がランスロット家の屋敷の方なんだよなぁ。


 次に、知らなければ起動させることができない場所に爆破スイッチが存在している。


 もうこの時点でここはランスロット家を狙ったテロリストの隠れ家になるよな。


 防音も完備されて、魔法の痕跡も残らないようになっている。俺やグリーテンなら余裕でできる芸当だが、それができるとなれば、それなりの使い手が作ったところになるな。


 とりあえず爆破スイッチを消すだけはして、秘密の通路もアリスの魔眼でも絶対に見つけれないようにする。


 全てを見通すことができる魔眼だろうと、俺の全能の前ではそれの対処をすれば問題なく隠すことができる。


 でもそれを考慮しないといけないというのがメンドウなところだけど。


「誰か来た」


 階段をおりてきている男の子と女の子の気配がした。


 さっきの話を聞いていれば、アリスの幼馴染だろうなとは思っている。


「アリス、いるのかー?」

「木箱の位置がちゃんと戻っていたから来てないと思ったのに」


 階段をおりてきた茶髪のやんちゃ坊主というのが良く似合う男の子と、しっかりとした感じの黒髪ロングの女の子がいた。


「お前誰だ!?」


 そして見知らぬ俺を見た男の子が警戒心むき出して怒鳴りつけてきた。


 女の子もかなり俺のことを警戒しているが、すぐに三袋目のビスケットを食べているアリスの方に目を向けた。


「……アリス、何を食べているの?」

「ビスケット」

「それは見れば分かるわ。それを誰からもらったの?」

「ヒル」


 ビスケットを食べながら俺を指さしたアリス。


「初めまして。僕はアリスに色々とごちそうしたら招待されたヒルだよ」


 第一印象が大事だと思って素人から見ても満点な所作で挨拶すると、女の子は見惚れ、男の子も見惚れそうになって気に食わないという顔をした。


「ここは俺の秘密基地だぞ! アリスが言ってもダメに決まってるだろうが!」

「でもここを見つけたのはアリスだよね?」


 俺の秘密基地って、普通にこんな危ないところを使っているのはアウトだろ。


 しかも魔眼があってこそ、ここを見つけることができたのは分かっている。それを指摘すると言葉に詰まる男の子。


「ふふっ、言い負かされているわよ」

「う、うるさい! 俺がリーダーなんだから俺のものだ!」

「違う、私の」


 どうやら発見者は所有権を放棄していないようだった。


「初めまして、私はアヤ。アリスとグレゴリーの幼馴染よ。よろしくね、ヒルくん」

「よろしく、アヤ」


 俺の元に来て握手して挨拶してきたアヤ。


「ほら、グレゴリーも挨拶しないと」

「……俺は認めてない」

「もう、そういう子供みたいなところは直しなさいよ」

「子供じゃねーし。大人だし!」

「……これがグレゴリー。あまりよろしくしないでいいわ」


 何だか幼馴染みたいな感じがするなぁ。約一名はビスケットに夢中だけど。


「お近づきの印どうぞ」

「あら、ありがとう」


 アヤにアリスと同じようなビスケットを渡すと笑顔で受け取ってくれた。


「グレゴリーもいる?」

「いらねぇよ! まず俺は認めてないからな!」

「じゃあここは多数決にしよう。もちろん僕を除いてね」

「……たすうけつ?」

「そ。アリス、アヤ、グレゴリーの三人で僕を秘密基地に入れていいか、入れてはダメかの意見を聞いて、多かった意見がこの場でのルールになる。分かった?」

「そんなのダメに決まるに決まってるだろ!」

「それじゃあ多数決を行うね。僕が秘密基地に入ってもいい人は手をあげて」


 俺がそう言うと、アリスとアヤが手をあげた。


「なっ! 何でだよ!」

「私はいいからここに招待した」

「私もグレゴリーみたいじゃなければ別に」

「これで僕が秘密基地に入っていいようになったね。ありがとう、歓迎してくれて」

「ぐぅ……!」


 まあグレゴリーのことも分からなくもない。


 彼にとって仲間たちとの秘密基地だったのに、見知らぬ人間が入ってくるのは許せないのだろう。


「歓迎してくれたお礼に秘密基地を作り変えるね」


 何だかこの子たちだけだと見つかる可能性があるから、改造する。


 まず部屋の内装を綺麗な物にして、テーブルも綺麗に、ベッドをフカフカに、ソファも追加してフカフカの物を。


 さらにランプだと少し暗いから天井に明かりの魔道具をつけて、階段を降りたところに魔道具の魔力を補充する場所を作る。


 あとは木箱が無くても出入口は許可されたものじゃないと見ることができず、入ることができないようにした。


「うわっ! 何だ!?」


 一瞬で変化したことで驚いた声をあげるグレゴリー。


「ベッドが綺麗になってるわ! それにソファが追加されてるわ!」


 一番最初に食いついたのはアヤで、すぐにソファに横たわった。


「はぁ……何これ、最高……すぐに寝れそう……」


 しっかりとしていた女の子と思っていたが、こういう一面があって可愛いなと思った。


「お腹空いた。ビスケットちょーだい」

「そんなものよりも俺がとってきた果物があるからこれを食べろ!」


 革袋からアリスのためにとってきた果物がたくさんあった。


 あぁ、グレゴリーがいたからアリスは餓死せずに済んだのか。


「果物よりもビスケットがいい」

「お前っ、それ言っちゃいけないだろ!」


 グレゴリー、一生懸命集めてきたんだろうなぁ。でもアリスの言いたいことは分からなくもない。


 でもここでビスケットとかを出したらグレゴリーのやっていることがすべて台無しになってしまう。


「今日はもうないよ。それに果物の方が体にいいよ」

「……なら果物で我慢する」


 俺がそう言うとアリスは果物に手を伸ばし始めた。


「……俺が言っても食べなかったくせに……」


 グレゴリー的には俺がいると何もかも気に食わなくなるのだろうな。


「グレゴリー、そんなに拗ねないで。これあげるから」

「すねてねぇよ! それをどこから出したんだよ!?」


 少しでもグレゴリーの機嫌をよくするために創造しながらポケットから出した『叛逆の英雄』のマンガ一巻を渡した。


「いらねぇよ!」

「そう。それならここに置いておくね」


 アヤ辺りが読みそうだからマンガはテーブルの上に置いておく。


「僕はもう帰るよ。来たばかりで家族が心配すると思うから」

「うん、また来て」

「ふぁ~……私も歓迎するわ」


 どうやら二人は餌付けと言うか、買収はできたようだ。


「フンッ! さっさと帰って二度と来るな!」


 一人は最後まで認めてくれなかった。多数決はしたけどね。


 ただ、こうして街に来るのはいいかもしれないと秘密基地から出てそう思った。


 さて、屋敷に帰ろうかと振り返ったら人とぶつかってしまった。


「あっ、ごめんなさい」

「いえ、問題ありませんよ。アーサーさま?」

「そうですか。ではこれで……」


 何だかよく聞き覚えのある声がしたなぁと思いながらその人の横を通り過ぎようとする。だがその人によって俺の肩はつかまれた。


 あれ? この人アーサーさまって言ってなかったか? おかしいな、俺の魔法はできているはずなのに。というかこれは普通にやばくないか?


 俺は恐る恐る誰が俺の肩をつかんでいるのかと顔を確認すると、いつも通りの表情をしているがすっごくキレている雰囲気のベラがそこにいた。


「アーサーさま、少しお話しましょうか」

「……はい」

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