仕事の準備を怠らないのは・・・大人として当然ですよね? 85
ちょびっと短いです。<m(__)m>
リアルにビジーでタイアードです...トホホ
第一章 八一話
「何を世迷い言を! 貴様の生態波動が“最後の砦”から蘇った“魔骸者”であると示しておるわ! 」
吐き捨てる様に言い放った仮面の人物が、改めてこちらに向き直る。
「まがいものって....随分な言いぐさじゃない? あんたこそ随分色々知ってるみたいだけど何者よ?」
「フン! お前なんぞに名乗る名など無いわ! 我等を切り捨てていった奴らの使い走りなどにのぉ!」
仮面の人物の素性は僕には分からないが....どうもカズミに対して随分感情的になっている様だ....と、そこまで沈黙を保っていたグラブフットが.....
「よおー嬢ちゃん。あんたカナタの同郷だってのは....本当か?」
「.....まあ、そうね。元がおんなじ国の人間ってのは間違いないと思うけど....」
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変な所で言い淀むな....さっきの“まがいもの”発言も気になるし....
コカトリスの群れを殲滅し、アローナとシドーニエをエルグラン山脈から転移したタイミングで.....グラブフットに付いていったドローンオウルを通して知った向こうの状況は更に緊迫感を増していた。
「クレオール卿、一つお尋ねしたいのですが.....“最後の砦”とはなんです?」
僕がなにげなく聞いた言葉に....兜を被ったままのクレオール卿が一瞬のけぞり....
「貴様....どこでその言葉を知った?....それは我等12枢機卿家族しか知らない....言わば“聖地”とも呼ぶべき場所の名前だ。本来なら一族以外には門外不出の言葉だぞ」
....謎の男は思った以上に“この世界の深い部分”に関与しているようだ....
「今、コカトリスを呼んだ謎の存在がグランヴィアの聖堂で良からぬ事を企んでいる様です....クレオール卿、申し訳ありませんが僕は現場に向かいます。現場には力ズミさんも居られるようですし....アローナさん、シドーニエさん、お二人にはここを頼みます。少し枢機卿と待機していて下さい」
僕の指示を聞いた二人は頷き、クレオール卿は....
「.....私が赴く訳には....いかんな。既に不法侵入しているのは力ズミも同じだが私とは立場が違う....良かろう、我々はここで待機させて貰う....が事が収まらねば我々は兵を動かすしかなくなる。分かっているだろうな?」
「ご心配無く....」
{ミネルヴァ、聖堂の前、彼らの死角へ座標設定を頼む!}
{了解! 設定完了です!}
「それでは後ほど.....エクスチェンジ!」
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「まあいい....先に“『大規模魔力具現化装置』”を回収するつもりだったが.....先にお前達から始末してやろう」
さっきと同じ静謐な....それでいて先程とは比べ物にならない鋭い魔力が、仮面の人物の周囲に湧き上がって....
「ちょっと! もう少し聞きたい事が.....」
「問答無用!! “蒼焔粘弾”」
仮面の人物の周囲に湧き上がっていた濃密な魔力は一瞬で無数の球体に形を変え.....火花を散らして揺らめく蒼焔と化すと、全方位から襲いかかってくる!
〔又ちゃん!〕
〔まかせろ! 魔力障壁!〕
又三郎が瞬時に解凍した魔力障壁に、高速で全方位から迫り来る高熱の炎球が次々と着弾する。
蒼く輝く焔は、砕けると同時に焔のままベッタリと粘性のある液体の様に障壁の外に張り付いて、カズミを大きな球体状の焔で覆ってしまった!
「魔力障壁で耐えてもその焔は消えん! そのまま焼け崩れてしまうがいい!!」
「ちっ!」
グラブフットがカズミを助けようと魔法の構築を始めた途端....
「おっと....そうはさせませんぜ! “嵐 風 陣”」
一瞬早くサルダンから無数の風魔法が放たれる!
「ちっ! めんどうな!! “認識増速魔法”」
瞬間、認識増速魔法を使って風球をかわしてとびすさる。
「サルダン!」
「おっと! 恨み言はこの際言いっこなしですぜ旦那! 俺にも浮き世の義理って奴があるんでね....」
「....その浮き世の義理って奴はフェルディナンの奴を裏切るだけの重さなんだろうな?」
「.....相変わらず痛いとこ突いてきやすね」
二人が舌戦を繰り広げる間に....カズミと又三郎を覆う蒼焔は更に大きくなる。このままでは障壁が保たなくなるのも時間の問題かと思われた時....
「キイィン!」
カズミを包み込む焔球の方から硬質の金属音が響いたかと思うと....ゆっくりと焔球が縦に割れ、その割れ目にむかって焔が吸い込まれていく!
一瞬の後、そこには細身の片刃剣を持ったカズミが、なにもなかったかの如く立っていた。
「全く....なんでこっちの人間って誰も彼も好戦的なのよ! ちょっとは人の話を聞きなさいよ! そんなんじゃ絶対もてないからね!」
「....なる程、二代目を名乗る程度の力はあるという事か....ならば....」
仮面の人物から湧き上がる魔力が今度は一つの球体に変化したかと思うと....再び蒼く輝きながら縮んでいく....
「この魔法はかわす事も防ぐ事も出来んぞ! 今のうちに短い今生に別れを告げるがいい!」
「うーん.....いいかげんにしないと.....」
カズミが一声唸ったと思うと....なんの痕跡も残さずその場から消え去ってしまった!
「そろそろ本気で怒るよ!」
消え去った筈のカズミと又三郎は.....
仮面の人物の背後に切っ先を突きつけながら宣言した。
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