仕事の準備を怠らないのは・・・大人として当然ですよね? 79
遅くなって申し訳ありません。
リアルに忙しく....
宜しくお願い致しますm(__)m
第一章 七五話
「.....これが貴様の切り札か?」
召喚された400頭の紫炎有翼竜を見回した後....クレオール枢機卿は改めてこちらに向き直った。
グラム神聖国の腕利きたる2000の精鋭達もさすがに驚きを隠せないのか、即座に盾を装備した重装歩兵が前衛を堅めて防御体制を採る。ここに及んでもパニックに陥らないのは流石だ。
「....切り札....ですか? それは想像にお任せしましょうか....」
「むぅ!....」
一言うめくと....クレオール枢機卿は押し黙ってしまう。こちらの戦力を計りかねて次の出方を迷っているようだ。
とりあえず一つめの切り札は効いた。
召喚した全てのドローンオウルに対して三首の神獣のコアに使用されていた『大規模魔力具現化装置』を連結、管理させる事で大量の紫炎有翼竜を召喚・使役する。
三首の神獣の討伐特典である核魔法構文管理者の権限を使用する事で核の情報を上書きして、グランヴィアの“防衛戦略兵器”として機能させる事はひとまず成功したと言って良いだろう....
「....解せんな」
「....何がです?」
「この大量の召喚獣は貴様の魔法として....何故ここに貴様が出てくる? 貴様一人を始末すれば....召喚獣は全て消えて残りの有象無象ではどうしようもあるまい? それが解っていながらどうしてそんなリスクを犯す?」
なる程....
「あなたは2つ勘違いなされてますね....」
「ほう?」
「まず一つ、先程も申しましたが....僕自身は直接手出しするつもりはないと言いました。この召喚の発動は確かに僕が担いましたが....この魔法の直接媒体はグランヴィアの民全員です。したがって万一僕が死んだとしても召喚は解除されません」
「バカな?! そんな事はあり得ん!」
「そしてもう一つ....確かに僕はこの地に義理が有るわけではありませんが....戦いをけしかけた人間として最前線に赴くのは義務でしょう?」
「.....!?」
僕の言動を聞いて少なからず驚いたのか....また押し黙ってしまう。ここはこっちからふるべきだろう。
「それで....やるんですか? こちらの見立てでは....そちらの超越者級の数を考えても十分戦える筈ですが....総力戦をして困るのはそちらではないのですか?」
単純に考えても彼らはグラム神聖国の中でも生え抜きの戦力の筈だ。こんな地方の反乱を鎮圧する程度の任務で損耗していい戦力では無い。
「ふん! ならばどうするというのだ? 例え全ての兵が倒れても我らは引けぬ!」
「あなた方の事情も解りますが....こちらも引けません。僕らはあなたの要求通り力をみせました。ならば今度は我々の要求を聞いて頂きましょう」
「言ってみろ....」
「僕らはアルバ地方を独立した国として周辺四カ国の非戦闘地域としたいと考えています」
「なんだと?」
「考えても見て下さい。この地は周辺四カ国の交わる要衝です。ここに非戦闘地域が生まれれば....どういう影響があるかはお分かりでしょう?」
そうこの地が周辺四カ国それぞれの防壁となれば物理的に争う相手を減らせる。それだけでも自国の防衛には有利になる。今までは貧しい土地を管理しながら防衛の為には少なからず労力を割かれていた赤字の土地が、それこそタダで自分たち達の盾になってくれると言うのだ。周辺諸国への武力侵攻を考えない限りは....
「まさかそんな事を考えていたとはな....だが他の三カ国がそれを了承すると思うか?」
「それについては....まぁいいでしょう。他の三カ国には既に内諾を頂いています。それに....今後のアルバ地方の統治には四カ国から代表を募って共同で行う用意があります」
「なに!」
「どうです? 考えてはいただけかませんか?」
よし、なんとか戦闘前にこちらの思惑は伝えられた。これで向こうもそう簡単に無茶は出来ない筈だ。何故なら....事は既に四カ国の、いやアルバ地方を含む五カ国の外交問題に発展したからだ。
こちらの思惑を聞いた時点で相手の行動は大幅に制限された。グランドグリッターが如何にグラム神聖国の中枢を担う大幹部といえども事がここに至れば勝手をする訳にはいかない。大幹部であればなおさらだ。
「クククカッ! なんともはや....貴様、ここまで読んでいたのか?」
「....当然想定していましたよ。僕は何も殺し合いが好きな訳ではないのですから....」
「ふん! 我等が神もそんなものは望んではおらん。だがな....まだ足らんな」
「へぇ。では何を示せば納得して頂けます?」
「国の事は....ここに至っては既に我の裁量を超えておる。教皇様に判断を仰がなければならんだろう....だがな、それもこれもお前が邪悪な存在でなければの話だ」
「??....それはどういう意味です?」
「それは今我が問いただしても意味は無い。始祖に連なる者よ。そなたの出番だぞ!」
クレオール枢機卿が大声で誰かに語りかけた瞬間.....
{主殿! 索敵に突然未確認の人物が現れました!ヤツの隣に何者かがいます!}
{なんだって!?}
ミネルヴァの声を聞いた瞬間.....
ヤツの隣に突然見知らぬ女性が佇んでいた....
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