仕事の準備を怠らないのは・・・大人として当然ですよね? 77
お待たせしてスミマセンm(__)m
いやはや....忙しいのと先への繋ぎ方に悩んでおりました(≧Д≦)
相変わらず展開の遅い話ですが....宜しくお願い致します<m(__)m>
第一章 七三話
「はっ?」
目の前のナイスミドルが当惑している....無理もない。いきなり“親戚を名乗る人間”が現れただけでも怪しいのに....こっそり紛争地域に連れて行けというのだ....反応としては当然だ。
「それは如何なる理由で.....もしや....グランヴィアに居るのはそれ程の....」
ん? なんか察したかな? まぁどっちにしろこんないい加減な頼み方じゃダメよね。
「えーっと....とりあえず自己紹介からね。私はカズミ・クサカ。あなた方の始祖(?)って言ったらいいのかな....先代と同じ....生まれです。証拠とか言われたら困るけど....」
目の前のオジサンが....流石に土下座はしなかったが、改めて片膝をついた姿勢で自然と頭を下げた。
「申し訳ありません。あまりの事態に....少々呆けておった様です。某はグラム神聖国“12枢家”がひとつ、『クレオール家』筆頭魔法使い “ヴィクトール・エル・クレオール” であります」
またか....さっきの土下座よりはましだが....こんな調子では話しにくい事この上ない。
「とりあえず顔を上げて下さい。私、これでも“礼儀”にはうるさい家で育ったんですよね、年上の人に何度も頭を下げられたりしたらどうにも落ちつかないんで....」
「は! 失礼致しました。して、先程のお話....確か“内密に”グランヴィアに同行なさりたいと....」
「はい....“突然現れた小娘の言い分”なんて聞ける訳ないってのは、分かってるんですけど....なんかこの子曰わく世界のバランスを保つ為には“絶対”見過ごせないって....」
そう言いながら又三郎に視線を向けた。あっ、コイツ欠伸してる!
「(?)なんと....いや、それは恐らくヤツの事を言っておられるのでしょうな....」
暫しの逡巡....そして、
「ふむ....まずは、当主に会って頂くのが先決でしょう。ただ....戦が迫っております故時がありません。某が案内致しますので、急ぎご足労願いたく存じます!」
「はい! 無理を言ってすいません。宜しくお願いします....」
こうして無事(?)私達は初代の子孫達との接触に成功した。
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奏多とガスパールの小競り合いがあった翌日、太陽が天頂に差し掛かる少し前の頃、グラブフットと奏多は新たに構築されたグランヴィアの城壁の上にいた。
眼前には....凡そ700m~1km程先の辺りから、グラム神聖国の兵力凡そ2000が、隙のない隊列のまま微速前進して来る様が見て取れる。
「おうおう....まぁ分かっちゃいたがよ....フェルディナンの野郎らしい隙のねぇ布陣だぜ」
「グラブフットさん....やはりあの隊を率いているのは?」
「ああ....昨日城壁外に現れたのは、ガスパールとヴィクトール師の使い魔で間違いない。なら....そいつらを率いて居るのは“絶対なる光を纏う者”フェルディナン・ド・クレオールで間違いねぇよ」
「そうですか....ならば話に聞いた彼の固有魔法も?」
「ああ、既に効力を発揮していると見て間違い無かろうよ」
「なる程....厄介極まりないですね....」
昨日グラブフットに聞いたフェルディナンの固有魔法『絶対なる光の恩寵』は軍を率いる物にとっては理想的、相手にとっては悪夢の様な物だった。
「総勢2000....まあ全て戦闘員でも無いでしょうからいいとこ1500~1600程度でしょうが....戦闘員の全員が魔法耐性と物理的衝撃耐性が3割増とか....どんな反則ですか....」
「仕方無かろうよ....その代わりヤツ自身は全く魔法が使えんのだから....いやそれも語弊があるな....有る意味身体強化魔法の極みとも取れる」
そう、敵の総大将であるフェルディナンの固有魔法“絶対なる光の恩寵”は、自らの集めた魔力を特殊な魔法構文で変換して“自軍の兵士達の防御力を底上げ”する代わりに“身体能力の一部を借り受ける”事が出来る能力らしい。
勿論どちらも無制限では無いらしいが、今回の規模だと強化具合は3割増といったところで、自らの身体能力値については....
「ヤツの全力? 見た事ねぇな....」
という始末だ....
そんな話をしているうちにも敵は前進を続け、既に先頭は500m付近に迫りつつある。その時、ゆっくりと進んでいた先頭から一騎、巨大な騎馬が走り出てきた。
「おいでなすったぞ! ヤツが“絶対なる光を纏う者”フェルディナン・ド・クレオール枢機卿だ」
指し示された彼を見た時....魔力にフォーカスしてあったモノクルのAR表示を見て....
「グラブフットさん....あれは本当に人間なのですか?」
「.....ああ、気づいたか?」
この光景が正しいなら....彼の体内には魔力が存在しない。だが....彼の周囲には猛烈な魔力が渦巻き、彼の纏う鎧に一度吸い込まれると....波長を変えた魔力が波紋の様に周囲に拡散していく....
{ミネルヴァ....僕には魔力が彼の鎧に吸い込まれてる様に見えるんだが....}
{恐らくですが....鎧を触媒として体外に纏う形で魔力を凝縮し“魔力甲冑”を形成していると思われます!}
{魔力甲冑?}
{詳細は私にも解析不可能ですが....彼と周囲の人間との間に特殊なリンクを確認しました。兵士とのリンクを介し“魔力甲冑”を身体能力サポートに使用していると推測されます!}
.....もはや何でもありだな....おっと!フェルディナンが自らの陣を離れ、城壁から150m程の所に到達する。と、同時に陣形の前進もピタリと止まる。
やおら、巨馬から大地に下り立った白銀に輝く騎士は....突如として大声を轟かせて宣言を始めた。
「聞け! グランヴィアの民よ! 生きる事....その様はただ辛苦に満たされ、その道は艱難に溢れているかと見紛うばかりだ。だが! 神はその全てを見、聞き、感じ、想っておられる!! グラ....」
うん?? なんだコイツ?! 事ここに及んで宗教演説を始めたのか? 不振に思ってグラブフットに視線を投げると....グラブフットも苦笑しながら説明する。
「あいつはなぁ....決して悪いヤツって訳じゃぁ無いんだが....どうにも〔神〕の事になると融通が効かんというか....多分だが今回の事も相当に曲解してる可能性を否定できん」
うーん....これは、戦後処理に苦労しそうだ。
「さあ!! グランヴィアの民よ、今こそ、そなた達を惑わせる蒙昧な言葉をはねのけて神の御許に帰順するのだ!」
うーん....もう少し言わせておいてもいいのだが....この後の予定もおしているそろそろ頃合いか.....
「グラブフットさん、そろそろ行きましょうか....」
毎度の不定期更新で申し訳ありません。いつも読んで頂いている皆様ありがとうございます。
新たに見つけて読んで下さった方は、是非今後とも宜しくお願いします。
最近では、更新の度にじわりじわりとブックマークや評価を頂き、見つける度に小躍りして喜んでおります。
アジャはなろう基準で、まだまだ底辺の近くをウロウロしている駆け出しですが、期待していただいている皆様に後悔させない様、これからも精進していく所存です。
今後とも応援よろしくお願い致します。
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