美少年の受難
さーて!
美少年のターン!
はじまるよ~( ☆∀☆)
俺は、男だ。
小さい頃から、男だった。
……男であったけれども。
面の皮が、女々しかった。
何かおかしいなと思ったのは、幼稚園に入った頃だ。
やけに俺の周りに女が寄ってくる。
先生、保護者、クラスメイト、クラスメイトの姉、町行く不審者。
知らないやつに声をかけられて連れ去られそうになったこともある。
自分の身は自分で守らねばと痛感し、空手道場に入門した。
戦える力を付けたのは良いが、それだけではどうにもならない場面にアホみたいに遭遇した。
すれ違いざまに髪の毛を抜かれる、美術の時間に作った作品がなくなる、上靴がなくなる。
盗み撮りされたこともあるし、ふと気が付くと歯形だらけの鉛筆が一本もなくなっていた。
中学校の制服のボタンはすべてちぎられたし、リコーダーを盗まれたことは数知れず。
ニコリとも笑わず、ぶーたれたまま勉強ばかりする羽目になり、知識ばかりが増えていった。
共学校だからこんなことになるのだと考えた俺は、近所にある進学校で有名な男子校を受験した。
ココならば、勉強に邁進する輩ばかりだろうし、おかしなことは起きないだろうと、踏んだ。
男子校に入ってほっとしたのもつかの間、いきなり襲われて上級生をぼこぼこにしちまった。
俺は入学早々、喧嘩っ早くて気の短い、乱暴者のレッテルを貼られちまった。
完全に俺は不貞腐れていた。
何をしてもうまくいかない。……この面の皮のせいで。
もういっそ、この顔を変えてしまおう、そう思うまで俺は追い詰められていた。
そして、俺はバイトを始めることにした。金を貯めて、整形手術をしてやろうと考えたのだ。
バイト先は、自分の家から歩いて15分の位置にある、物流倉庫にした。ちょうど新店オープンだとかで、大量にアルバイトを募集していたのだ。
「えっ…君秀才高校?!バイトなんかしてて、良いの?!」
「いいんです、お願いします。」
中年のパートさんばかりの物流倉庫は、実に居心地がよかった。
みんな面の皮など気にせずに仕事に集中していたし、年が離れていることもあって随分かわいがってもらえた。俺がどれほど尖ったことを言っても、みんな丸く包み込んでくれたのだ。また、毎日サーキットの中を歩き回ることで体力が向上し、地味にストレス解消にもなった。たまに人員シフトを組むプログラムなんかを提供しつつ、和気あいあいと働くうちに…ずいぶん、俺は穏やかな人間になったように、思う。
バイトをしながら金を貯め、それなりに勉強をし、俺は高校の横にある大学に入学した。バイト先で人のあしらい方を学んだ俺はそれなりに…目立たずにキャンバス生活を送れるようになっていた。まあ、サークルに入るような気力はなかったけどさ。同級生どもがコンパに明け暮れる中、俺はずっとバイトに精を出していた。バイト先は…俺の大切な居場所だったのだ。
ところが。
「どーもっ!!新入社員の、冬木やよいでーす!!!」
俺の安寧をぶち壊す、騒がしい奴が、やってきてだな!!!!!!!!




