314:薫さんとデート(前編)
お待たせしました!
予定よりは早くて短めですが⋯⋯!
薫さんに連れられて向かった先は品川。
そこで行われているとあるイベントのチケットを取っていたと薫さんが言っていたんだけど、どんなイベントなんだろう。
そう考えていると、薫さんがすぐに足を止めた。
「さ、着いたよ!」
そう言って指差した場所は、アクアパーク品川。どうやら水族館みたいなんだけど、薫さん曰く普通の水族館とは少し違うんだとか。
「凄く近いですね!?」
「朝から出かけてて結構疲れてるだろうからこれくらい近い方が良いと思ったんだ。それじゃ早速いこっか!」
薫さんは僕の手を握ったまま建物の中へと入っていく。
中へ入りまず目に入ったのは中の綺麗さ。
名古屋港水族館とは違い、最新技術を駆使して作られたその中は確かに凄いと思わず声が出てしまうほど。
プロジェクションマッピングにより、水槽の周りがとても綺麗に演出されていて、水族館とは思えないくらい綺麗。流石に展示数は名古屋港には勝てないけれど、それを超える演出が凄い。
「今日はここで夏にやってるイベントのイルカショーを観に来たんだよ」
「イルカショーですか?」
「うん。名古屋港とは違う演出らしいから、気に入ってくれると嬉しいかな?」
「楽しみです!」
「それじゃ、はぐれないように⋯⋯しっかり手を握ろっか?」
「か、薫さん!?」
薫さんはさっきまでの手の繋ぎ方とは違い、周りにいるカップルがやってるみたいな方法で手を繋いできた。
流石の僕だってこれがどんな握り方かくらいわかるよ!
「⋯⋯今日はデートなんだから、気にしたら負けだよ?」
薫さんは悪戯顔で僕の方を向きながらそう囁いた。
「それに、しっかりこういうときに優希くんが好きだって伝えないと他の人に取られちゃいそうだし」
「そ、それは⋯⋯」
「なんて、意地悪だったかな?」
薫さんは横でくすくすと笑いながらおどけて見せる。
「それじゃ、時間まで少し見てよっか」
「⋯⋯はい!」
それからイルカショーのある場所を目指しながら歩き、時には立ち止まってじっくり眺めてみたり。
そんな事をしていたら、もうすぐ予約していた時間の5分前になっていた。
「イルカショー、楽しみだね」
「はい!」
そう言い合った僕達は、ショーの会場へと入っていった。
♢
ようやく、優希くんと二人きりのデート。
デートと言っても、実際に付き合っているわけじゃないけど。
でも、こうして手を繋いで、一緒に歩いているだけで、私は幸せな気持ちになれる。
もちろん、欲を言えば独り占めしたい。
そんなことを考えながら水族館へ入ると、その中はとても綺麗で、おしゃれ。
周りはカップルだらけで、少し気不味い。
でも、自分もそんな関係になれたらきっともっと幸せなんだろうな。
そうなる為にもちょっとだけ、勇気を出してみる。
「それじゃ、はぐれないように⋯⋯しっかり手を握ろっか?」
そんな事を言いながら優希くんの指と私の指を絡めるように⋯⋯俗に言う、恋人繋ぎってやつを。
「か、薫さん!?」
実際やってみると顔が真っ赤になったんじゃないかってくらい熱く感じて、もの凄く恥ずかしいし、優希くんも変な声を出してる。
隣をチラッと見てみると、優希くんは顔を真っ赤にしていた。可愛い。
優希くんの先輩や、ふわりちゃんにもアピールされてて、慣れても良い頃合いにも思えるけど、まだ慣れてるような様子はない。そんなとこも可愛い。
慣れて欲しいような、欲しくないような⋯⋯複雑な気分ではあるけれど、そんな優希くんも好き。
優希くんにちょっと悪戯気味な事を言いながら展示を見回っていると、ちょっぴり幸せな時間は一瞬で過ぎていく。
ちょっと悪戯しすぎたかな?でも、それくらい本気って事は伝わるはず。
いつも優希くんとお出かけしても由良がいたり、他の子がいたり、二人きりって実は殆どなかったり。
でも今日は夜だけとは言え、独り占め。
しかも、まだ終わりじゃない。
「イルカショー、楽しみだね」
「はい!」
だって、まだ本番のイルカショーが残っているから。
ワクワクした様子の優希くんと一緒に私はショーの会場へと足を踏み入れた。
イルカに願っても意味がないけれど、優希くんの中で私が一番になれますようにと願いながら。
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