失恋VTuberコミカライズ3巻発売記念SS
さぁ本日!!!!!
コミカライズ3巻の発売日ッでッすッ!!!!
今回のお話は3巻の特典用に執筆した、夏コミの花園さん視点になります。本来は3巻に掲載予定だったのですが、4本送った為、1本が没になってしまいました。ですが内容は非常に気に入っているのでこちらにて公開させてもらいます!
(本当はカクヨムのサポーター、Fantiaで登録してくれてる方向けに投稿予定でした)
私の名前は花園しの。白姫ゆかちゃんの中の人をやっている姫くんこと姫村優希くんと同じクラスにいる、どこにでもいる腐女子というやつです。
自分で言うのも変ですけど、私は普通の腐女子とはちょっと違います。その理由は、私がコミケで本を頒布しているから⋯⋯生産者側ってやつですね。今日は正にその頒布の為にコミケへ来ています。
ぶっちゃけ今日持ってきた同人誌の内容は人に言えるものでは無い⋯⋯といいますか、リアルの知り合いには出来ればバレたくありません。
だって⋯⋯
「(普段⋯⋯BLモノばかり描いてるから⋯⋯)」
人によって好みが分かれるジャンルであるBL、私はその中でもとっつきやすい少年やショタ×イケメンの組み合わせを好んで描いています。
そう、姫くんと佐々木君みたいな⋯⋯っていけないいけない、こんな場所で妄想始めたら酷い事になっちゃう。
気を取り直して、今回私は初めてHL、NLとも呼ばれるジャンル、そう異性での組み合わせの本を描き上げました。
それが、ゆかちゃんとゆるママさん。
「(かなり無理して描いたけど、ギリギリ間に合って良かった⋯⋯ただ今回は自分の中でも異例の2冊発行、売れるかは分からないけど、少しでも同志が増えてくれたら嬉しいな)」
そして開場が近付いて来たタイミングで私のスペースにコスプレをした女の人がやって来ました。この人は売り子さんで、頒布のお手伝いをしてくれます。
「あっ、しのん先生!おはようございます!」
「おはようございます!」
自分の中でスイッチが入っている私はいつもと違いハキハキと返事を返します。
「今回新刊⋯⋯あれ?2冊ですか?」
売り子さんが首を傾げながらゆかちゃん本を指差しています。
「そうなんです!今回は初めてHLに挑戦してみました!」
「珍しいですね!?」
「⋯⋯と言っても見た目二人とも女の子だから実質百合ですけど」
「根本的な部分は変わってなくないですか!?」
「でも尊いからヨシ!ですね」
「確かに⋯⋯ちょっと読ませて貰っても大丈夫ですか?」
売り子さんは今日の新刊を指差しながら私にそう聞いてきました。
「新刊2冊とも渡すつもりだったので、1冊ずつ持って行ってもらって大丈夫ですよ?」
「本当ですか!?じゃあ開場までもうちょっとあるので少し失礼しますね!」
売り子さんはそう言って私の本を手に取ると、ペラペラと中を読み始めました。
「おぉぉぉぉ⋯⋯」
顔を真っ赤にしながら読んでいるのを見ていると、少しでも良いと思ってもらえたんだって嬉しくなります。
「やはりしのん先生のBLは⋯⋯最高やな⋯⋯」
「口調おかしくなってますよ!?」
「いやーつい⋯⋯」
「どうせなので、もう一つの新刊読んでみませんか?
かなり自信はあるんですよ」
私のBL作品を楽しみに売り子をしてくれている子だからダメかな?と不安に思いながらも聞いてみると、良い笑顔でもちろん!と言ってくれた。
「⋯⋯」
少しの間静寂が訪れ、私はどうだったか気になって仕方がない。
「やばっ、鼻血でそう⋯⋯」
「そこまで!?」
「ちょっとウチには刺激が強すぎるみたいなので後でお家でゆっくり読ませてもらいます!」
「そ、そう?変じゃ無いです⋯⋯よね?」
「最高でした!まだ全部は読んで無いですけど」
てへへ、と言いながらも自信満々に答えてくれる所を見ると、おそらく本音なんだと思います。
「これなら絶対売れますよ!」
「あ、ありがとう!」
「じゃあ、ウチも売り子として頑張りますね!」
「うん!よろしくお願いします!」
そんな話をしている間に開場の時間がやって来た。
それからすぐにお客さんが沢山流れ込んで来て、コミケ特有の熱気に会場が包まれる。
「よし、頑張ろう!」
「もちろんです!」
それから少し経つと私のBL新刊を求めてお客さんがまばらに来始める。
お客さんが私の本を見て、HLかぁ⋯⋯と言いながら帰っていく姿を見て、いきなりBL描いてる人が描くジャンル変わったら困惑もしちゃうよなぁ⋯⋯なんて思いながら対応していると、唐突に沢山人がやって来ました。
「えぇ!?急に何が⋯⋯?」
「これは想定外ですよ、しのん先生!」
「と、とりあえずやれるだけ対応しましょう!」
「はい!」
用意していた数が少なめだったのもあってかゆかちゃん本は一瞬で消え去ってしまいました。
「どうしてこんなに人が⋯⋯?」
「⋯⋯あっ、なるほど」
人がようやくいなくなり落ち着いた所で、売り子さんがスマホを見ながら何やら納得した様子で呟いた。
「しのん先生、ピヨッターで話題になってたみたいですよ」
「えっ!?私の本が!?」
「貴重なゆかちゃん本、BLサークルにひっそりと売ってたっていう呟きが拡散されていたみたいです」
「なるほど⋯⋯確かに貴重かも」
私が描いたタイミングがあまりにも早いのは間違い無いし、最速でゆかちゃんの存在を知れたって言うのも大きな要因だから、余程筆の早い人じゃなければゆかちゃん本を夏コミに出すのは無理。だからこそ私の本が注目されたのかな?
「でも、売れた!」
「売れましたね!」
初の試みが姫くんのお陰とはいえ、成功したのがとても嬉しかった。
「⋯⋯あ」
その瞬間に私は思い出した。
「ゆかちゃんのブース行くの、忘れてた」
早めに切り上げて行くつもりだったのに。
「⋯⋯今から行って、間に合うと思います?」
「厳しい気がします⋯⋯けど、行ってみる価値はありますぜ!」
「そうですよね、行ってみる事にします!
「じゃあ私はお留守番してましょうか?」
「うーん⋯⋯もう売るものも無いし、撤収でも良い気がするかも」
折角コミケに来たんだし、残りの時間くらい売り子さんにも自由にしてもらうのもありかも?
「あっ、そういえばアフターは友達と行くんでしたっけ?」
「そうですね!」
「それだったら今日はこれで解散で大丈夫ですよ!」
「本当ですか?」
「ちゃんと予定時間分のお金も渡すので安心してください!」
「わー!助かります!」
そして、私は今日の分のお給料を売り子さんに渡して片付けを済ませ、会場近くのホテルに荷物を置きに行き、ゆかちゃんのいるスペースへと向かう事にした。
だけど、到着してみたら、ゆかちゃんの姿はもうそこには無かった。
「流石に閉会ギリギリだったら撤収しちゃってるかぁ⋯⋯」
一度荷物をホテルが近いからって預けに行ったのが間違いだったかも⋯⋯
「ま、学校で会ったら行ったけど会えなかったって事を伝えればいっか」
私は少し残念に思いながらも上機嫌でホテルへと帰っていった。
面白かった!けどコミカライズは買ってないな?って方は是非イラストがついててぇてぇの過剰供給になっているコミカライズを買ってみてください!
ちなみに、1巻はヤンチャンWebさんや、ピッコマさんで無料で読む事も出来ますよ!




