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真っ赤な髪の女性

「わっ!」


 私は慌てて自分の杖に手を伸ばそうとしましたが...。


「遅い!!」


 真っ赤な髪の女性にそう叫ばれて杖を蹴飛ばされてしまいました。


 そのまま短剣を喉元に突きつけられてしまう私。


(やばい...殺される...)


 そう思うと変な汗がたらたらと額を流れ落ちる...。


 しばらく私の様子を見ていた彼女はこう呟きました。


「その土が沢山ついている高級そうな格好からして、あんた...ガーディンの所から逃げてきたのかい?」


 そう聞かれたので私は「うん」と頷きました。


 すると彼女は武器を収めてこんな事を言い出します。


「は〜ん...、その格好から察するに大事な物を奪われたけどなんとか逃げ出せたって所だね...」


「どうしてお姉さんがそんな事まで分かるの!!?」


 私が思わずそう叫ぶと彼女は笑っていました。


「全くダメだね、あんた心理戦弱すぎ、そんなんじゃあ今の世の中歩いていけないよ」


 私が「えっ?」と言うような表情を浮かべると、彼女は丁寧に教えてくれました。


「良いかい? 私が大事な物を奪われたんだね? と聞いてそんだけ取り乱すってことはあんたはガーディンに何か大事な物を取られたってことになるだろう?」


「うん...」


「そんでもって「どうしてお姉さんがそんな事まで分かるの!!?」って言葉、こんな事言ったら弱みになるだろう? 私が適当な嘘を言ってもあんたは信じてしまいそうだし」


 ハハッと笑う彼女の顔から察するに悪い人ではなさそうですが油断はできません。


 私はチラチラと遠くにある杖を見ながら彼女との距離を取ろうとしますが...。


「動くな」


 と言われてしまい体が硬直してしまいます。


「判断は悪くない、見たところあんたは魔術師だろうし接近職相手に距離を保とうとするのは当然だが...」


 彼女はそこまで言うと短剣を抜き放ち私の所まで一瞬でやってくる。


「ここまで近づかれたら魔法職は終わりだ、接近職のスピードについて来られないからね、つまりここまで私に接近を許した時点であんたは負けていたって訳さ」


 彼女は戦況を全て分かりやすく言った上で手加減までして私に勝ったのですから完敗だと認めざるおえません。


 私が悔しそうにしていると急に彼女が私の焼いているうさぎ肉を見てこんな事を言い出しました。


「ところで、うさぎ肉を焼いていたようだけどちょっとだけ貰えない? なぁに...、命を取られると思えばうさぎ肉くらい安いもんだろう?」

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