黒い水
『【砂鉄水】』
私の言葉と共に周囲の土から水と砂鉄を組み合わせて行く...。
「なんだ...? 水がどんどん黒く...!」
平原に水が現れるのは魔法だと理解できていた盗賊達も水が黒くなると言う現象に度肝を抜かれていました。
「...お前ら覚悟しておけ!」
この中では1番えらそうな盗賊が声を発して皆を鼓舞しているが問題はない。
『...ヒヒっ』
私は逃げない盗賊達をみて思わず上記の様な声を漏らしていた。
この状況になっても逃げないこいつらの図太さに感謝していたのだ。
片手に作り上げた丸い水の球体が全て黒に染まった瞬間から地獄が始まった。
「ガッ!?」
いきなり盗賊団のうち数名が足を抱えだす!!。
「どうした!!」
そう言って仲間に近づく盗賊も私は餌食にしていた。
何をしていたのかと言うと、奴らの足元に小さな水の短剣を作りあげ、足の裏を切り裂いていたのだ。
初見ではまず躱すことの出来ない技なので対処のしようなどないのである。
1人、また1人と私の罠に面白いようにかかってくれるのがおかしくってしょうがない。
「お前ら!! 仲間に近づくな!! あれは罠だ!!」
奴らがそれに気がついた時にはすでに5人が私の罠にかかっていた。
『あれ? 意外とすぐにバレちゃったね...、じゃあこれはどう?』
私は次に右手を振って大きな波を起こす。
平原がまるで山の様に膨れ上がったかと思えば、雪崩のような量の黒い水が突如として現れて奴らに襲いかかる!!。
「なんだ...アレは!!」
奴らの悲鳴や絶叫が聞こえてくるので心地良い。
私の【砂鉄水】は性質こそ水と相違ないのだが、切れ味が名刀程もある。
つまり、金属としての性質を強くすれば硬く鋭くなり、水としての性質を強くすれば柔らかくなるのだ。
硬さと柔らかさのコラボレーションが奴らの悲鳴をより際立たせる原因となっている。
あいつらは今、黒い海の中で大量の剣と一緒に踊り狂っているのだから...。
私が空中で黒い海を3回ほど動かすと魔法を解いた。
と同時に大量の死体が空から降ってくる。
それらは全て苦悶の表情を浮かべながら、まるでこの世の生き地獄を全部見てきたかの様な表情を浮かべていた。
『...つまんないな、まだまだ暴れたりないんだけど』
そう私が呟く中、「うっ」と声を漏らす音が死体の中から現れた事に歓喜の笑みを浮かべる私なのでした。




