聖典の足掻き
私が【砂鉄水流砲】を炸裂させると奴の巨体は崩れ去った。
奴の遺骨には黒金の小さな刃が突き刺さっており無残な屍を残しているのみである。
「やった...、姉ちゃんが勝った!!」
全身が痛みで震えているせいか、ひょこひょこ歩きで私の方まで近づいてくるサラに手の平を向ける私。
「姉ちゃん?」
不思議そうな表情を浮かべながら私の方を見てくる彼女だったが、私にはまだするべき事があった。
「サラ...ちょっと待ってて、アレを破壊してくるから...」
「アレって...」
私の指さす方向には勿論聖典がある。
(今の私ならきっと...!)
素早い身のこなしで溢れ出てくる雑魚どもを薙ぎ払う!!。
「邪魔をしないで!!」
雑魚でもレベルが高いのだが、マーカイルやザランに比べればなんて言う事はない。
それに今の私には何者かが助力してくれているのだ。
そこら辺の雑魚程度に負ける気などない。
群れる雑魚には【砂鉄水流砲】で一気に蹴散らし、デカブツには【黒流剣】を頭に一太刀入れて突き進む!!。
しかし、それだけ大技を雑魚にばかり使っていると肝心な所で魔力が尽きてしまいかねない。
(温存しながら早く突き進む!!)
そんな私の姿を見たグレイブ団長はこう呟いていた。
「たった1人の少女があれだけの大群を相手に一歩も引かない所か薙ぎ倒していくなんて...、まるで【蒼い捕食者】だな...」
魔物共の返り血を大量に浴びながら、ついに聖典の元へと辿り着く!!。
(これで全てが終わる...! ディール...、トミーおじさん...、スラナ村の皆...、犠牲になった人たちの痛みを思い知れ!!)
最高の一撃をこの手の中に握りしめる!!。
「【砂鉄水流砲】!!」
残りの全魔力を振り絞り、黒金の弾丸を撃ち放つ!!。
それが聖典に付着するのを確認した瞬間に私は叫んだ!!。
「【爆散せよ】!!」




