骸骨剣士ザラン⑦
『私だよ...、まあもっともお前は覚えちゃいないんだろうがな...』
全く聞き覚えの無い声に戸惑う私。
「...誰か知らないけど邪魔しないで、私は目の前のこいつを倒さなくちゃいけないの」
『ハハッ!! 目の間のこいつを倒すだって? 以前のお前ならいざ知らず、今のお前がこいつに勝てる見込みなんざこれっぽっちもない! 力の使い方もろくになっちゃいない今のお前なんざただの雑魚当然だ』
謎の声は私の事を笑いながらも交渉してきた。
『ところでどうだ? 取引をしないか?』
「取引?」
『ああ、私がお前の体を使ってやる、そのかわりお前は自分の体の所有権を少し譲れ、なぁに全部譲れって言うんじゃ無い、ほんの少しでいいんだ』
私は少し考える...。
「お前に体を渡せばサラを救えるのか?」
『それはお前次第だ、思ってた以上にお前の体が消耗していたら厳しいかもしれないが、この程度の相手なら恐らく大丈夫だろう』
...。
「どちらにせよ、この状況じゃあお前を信じるしかない...か」
どちらにせよこのまま放っておけば全滅だ。
ザランはマーカイルよりも遥かに強いし、マーカイル戦の時のように蒼いオーラも感じられない。
勝ち筋が完全に閉ざされてしまう事の方が今の私にとって問題なのだ。
「いいよ、私の体の所有権とやらを少しあなたに譲る」
『...ハハッ、その言葉もう取り消せないからな』
しばらく沈黙が続いた後、いきなり全身に私では無い者の感情が溢れ込んでくるのでした。




