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骸骨剣士ザラン⑥

「ぁああああ!!!」


「ぐぅ!?ぅあああ!!」


 2人の悲鳴が私の耳をつんざいてくる。


 その声を聞いていると私も戦わなくてはいけないと言う使命感を感じるのだが...。


 いざ立ち向かおうとすると少し怖くなってしまう...。


(くそっ!! 動け! 私の足!! 動け!!)


 私の中で1番強い魔法が効かないという事実は、決定打を失ってしまったと言う事に相違なく、そんな精神状態でどうやって目の前の強大な敵に挑めばいいのか全く分からない。


 呼吸が荒くなり、どうにかしようと頭の回転速度早めるが解決策が思いつかない。


 しかし、そんな状態のわたしにも奴は攻撃を繰り返す。


 大きな手を握りしめて思いっきり殴りつけてくる。


「あがっ!!」


 私は簡単に飛ばされてしまい咳をこむ。


「ゴホッ!! ゴホッ!!」


 無様な私の姿を見て嘲笑するザランはこう呟いた。


「俺が怖いか? 人間、頭を下げて命乞いをするのならばお前だけは助けてやるぞ?」


 奴の甘い声に私の思考は揺らぐのだが、やはりサラを見捨てる訳にはいかない。


「ケロナお姉ちゃん...」


 力なく私の名前を呼ぶあの子の前で情けない姿を見せる事だけはできないのだ。


「ぐっ...ぅぅ...」


 私が立ち上がるとすぐさま奴の拳が飛んでくる。


 何度も...何度も...。


 私は殴られ続けた。


 全身に痛みが走る度に思考がぼやけてくる...。


(あれっ? 何で私はこんな思いしてまで立ち上がってるんだろう...?)


 そんな思いに頭の中が支配されてしまい、ついに立ち上がれなくなってしまった。


 ようやく動かなくなった私を満足そうな表情で眺めているザラン。


「おねえ...ちゃん...」


 どんどん声が小さくなって行くサラを見ている事しかできないという無力感に打ちひしがれていると...。


『無様だな...それでも我らを滅ぼした1柱か?』


「だ...誰?」


 私の中に声が響いてくるのでした。

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