おまけ話
あくまでおまけの話なので深く考えずに読みましょう。
「ふあぁ...」
私は眠たい目を擦りながら目覚める。
「おはようございます、フリーズ様」
その声のする方を見てみると白いヒゲが立派な執事姿の男がいたので声を出した。
「ご苦労、今日も精が出てるねラグネル」
「はっ、フリーズ様にそう申しられますと嬉しい限りでございます」
「ふふっ、そんなことよりも今日からだよね?」
「はい、我らを呼び出したサティア王国との会談の日ですな」
「いやいや違う違う、表向きはそうだけど私の目的はそっちじゃないから」
「そう申しられますと?」
どうやらラグネルが私の心中を測りきれていないようなのでため息を吐いてしまう。
「はぁ...、あなたはそれでも私の腹心なの?」
「申し訳ございません、我らが主人フリーズ=ディスティア様の心中をお察しする事は【眷属】である私共にも測りかねます」
「ふ〜ん...まあ良いや、私は王様とのつまんない会談になんて興味がないの、どうせまた「この国を攻めて欲しい」とかそんな話だからね」
私は片手を振りながら面倒臭そうな表情を浮かべて続ける。
「でもさ、会談さえ終わればまたフィナちゃんと遊べるからね、今の私はその為だけに【サティア王国】のコマになってあげてるだけ、いわば道楽と言うやつね」
「はっ」
硬っ苦しいラグネルの対応に私は大きなため息を吐いた。
「全然ダメ、ラグネル! あなたは私の側近なのよ? その事を分かっているの?」
「はっ! 重々承知の上でございます!」
「本当?」
「本当です!」
そう呟く彼の瞳をじっと見つめる。
どうやら嘘はついていないように見えた。
「分かったわ、とりあえず信じてみましょうか」
「ではフリーズ様、表に馬車をご用意しておりますのでお着替えが終わり次第、それにお乗りください」
そう呟く彼に私は言いました。
「そんな物必要ないわ、私を誰だと心得ているの?」
「ですが我らを束ねる主人がただ歩いて【サティア王国】の城門に向かうと言うのはいささか...」
その言葉に私は再び大きなため息を吐く。
「分かったわ、ただ歩いて行くだけだと私の威厳に関わると言う訳ね、ならば私に相応しい登場の仕方で歩いていけばいいでしょう」
「は...はぁ...」
私の言葉にタジタジな彼に言ってやります。
「大丈夫よ、私がほんの少し力を発すればこの世界の住民には充分通用するって分かっているし、なんならいつでもサティア王国その物を滅ぼせるしね」
私の笑みにラグネルは静かに笑う。
「確かに...、我らが主人【大帝】様には過ぎた心配でしたかな?」
「ええ、全くもってその通りよ、ではそろそろ【大帝】1人の意思によるデモンストレーションに向かいましょうか...」
私はいつもの服に着替え終わると自身の魔力で作った城にある一室から外に出るのでした。




