1人旅⑥
ガツガツガツ!
勢いよく食べる娘さんに私は思わず笑みを溢しました。
「どう? 美味しい?」
その問いに彼女は目を輝かせながらこう答えてくれました。
「うん! 美味しい! とっても美味しいよ! お姉ちゃん!」
「そう...」
私はそう静かに返しながらも【お姉ちゃん】と言う言葉にため息を漏らす。
(お姉ちゃん...か)
私はサラ達を置いてきたことをなにも後悔していません。
でも、私にとって彼女達といた時間はとても安らぐ物だった事は事実なのです。
私が少し過去の思い出に浸っていると男にこう言われました。
「いや...まさか食料を分けていただく事になるとは...、この御恩一生忘れません!」
と男に言われ、奥さんの方には「娘の食料を分けていただきありがとうございます!」と感謝されました。
勿論村の人全員に食料を分け与えるなんて事はできないが、明日私が【海龍】とやらを倒してしまえば全て解決する話だろう。
「さあ、今日はしっかりと休んで明日【海龍】とやらを討伐しに行きましょうか」
私がそう呟くと男の家族全員から頭を下げられてしまうのでした。




