姉妹喧嘩

　サラの放つ黄金の矢は凄まじい威力を持つ。

　それこそAランクの魔物に重傷与えるほどに命中制度も威力も充分である。

　しかし、その力を持ってしても私の相手は無謀が過ぎた。

「はぁ...はぁ...はぁ...！」

　既に30発程大技を使った妹の魔力は空っぽ寸前だ。

　息も絶え絶えに魔法を放ってくる彼女の攻撃を私はいとも容易く受け流す。

「サラ、もう終わりにしよう」

　私はそう呟いて彼女に攻撃を加える。

　彼女の攻撃を全て受け流してから容易くとどめを刺す。

　しかも、【次(・)元(・)龍(・)】の(・)力(・)を(・)使(・)わ(・)ず(・)に(・)。

　これだけ圧倒的な力の差を見せつけておかなくてはいつかまた私の前に現れても困りますしね...。

　完膚なきまでに妹を叩きのめし2度と私に立ち向かおうという気さえ起こさなくなるほど殴りつけた。

　回復魔法をわざとかけさせては殴る。

　どれだけ回復しようと相手を倒せなければ意味がないと言う事を体に教え込む。

「おねぇ...ちゃん...」

　ガツッ！！！

　挑んできたのはサラだ。

　私は悪くない。

　悪くない筈なのに胸が締め付けられる...！

　ガツッ！！！

「ガハッ！！」

　妹が私の拳に血を吐いた。

(もう...気絶して...)

　私はいつしか彼女にそう声をかけそうになっていた。

　けど...。

　ごめんね。

　ガツッ！！！

　私は無表情を貫きただただ妹が諦めるまで顔面に拳を叩き込む。

　そこに遠慮などない。

　仮にもSランクの体なので簡単には壊れないだろう。

　実際私がこれだけ殴りつけて死んでいないのが何よりの証拠である。

　その後も数発殴りつけるとようやく妹は大人しくなった。

　だらんと体を重力に従わせて地上に倒れる妹の姿は痛々しい。

「...」

　私は気絶した妹に最(・)後(・)の回復魔法をかけてあげた。

「じゃあね...サラ」

　私はもう2度とサラ達に会う事はないと胸に誓いながら新たなる旅に出ようとした次の瞬間！！

「【リストア・マインド】」

　と呟く妹の声が聞こえてくるのでした。