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今までありがとう

「待ってよ! ケロナお姉ちゃん!!」


「待ってください! ケロナ!」


「お姉様! お待ちになって!!」


「ケロナさん!」


「ケロナちゃん!」


 皆の声が聞こえてきますが私は【木の家(ツリーハウス)】出て歩きました。


 これ以上()()()()()()に巻き込む訳にはいきません。


 そのまま私がその場を後にしようとすると...。


 私の背中に灼熱の炎が吹きあられました。


「次は当てますよ!? 分かったらまずは理由を話してください! 突然1人で何処かに行こうとしないでくださいよ!」


「...レイナが私に向かって魔法を放ったのはあの時以来だよね、うん、その方がお互い納得できるかもしれない」


 私は追いかけてくる彼女を前にして静かに身構える。


 私に追いついたレイナが私の体勢を見て静かにこう漏らす。


「なんのつもりですか? 私はケロナと争うつもりはありませんよ? 仮に1人で旅をしたいと言うのならそういえばいいじゃないですか! 私達は仲間ですよね? まずは相談してください!」


「...」


 その言葉に私は素直に答えることができない。


 なぜなら、私は彼女達とは違う【魔物】と言う種族だからだ。


 私の元いた世界では【アリカ】と言う少女が【人間】と【魔物】が互いを尊重しあう国を作っていたので問題がなかったのだが、こっちの世界では【魔物】と【人間】は交友関係にない。


 つまりいくら私達の仲が良かろうと国ごとの決まり事がそれを邪魔してくる可能性は大いにあり得るのだ。


 私はこれから自分が魔物である事を隠して人間社会に溶け込まなくては情報収集が出来ないので大変なのである。


 それに、もしも私が魔物だと世間にバレてパーティ全員が【魔物】と繋がりのある集団だと認識されると尚更皆の人生を狂わせてしまうかもしれない。


 色々考えた結果、私は彼女にこう言いました。


「レイナ、今までありがとう」


「なんですか? それ...」


 今にも感情が昂りそうになるのを抑えつつも私の事を見てくる彼女の表情は爆発寸前なのは目に見えて分かる。


 これだけ言っても彼女は分かってくれないでしょう。


 でも...。


 真実なんて知らない方がいいと私は思いながら静かに身構え続けているのでした。

後10話で【前編】最終回!!

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