赤毛の少女③
私は赤毛の少女ポニーを抱き抱えながらこの薄暗い地下室を後にします。
その間にカトラの事をじっと睨みつけてこう言いました。
「...この子の存在を知っている人が貴女のような弱い人じゃなければよかったのに」
と。
「...心外ですね、誰であろうとその子を救う事はできなかったですよ? 無論貴女方もクラール様が帰って来られれば待つのは死のみですから...、今のうちに偽善を振り撒いておくんですね」
「...それなら大丈夫、うちのケロナがクラール如きに負ける道理はないから」
「...随分と【次元龍】の事を信頼しているのですね、やはり【次元龍】を崇拝するような【邪教徒】は一味違いますね」
「違う、私が信じているのは【次元龍】なんかじゃありません、私が信じているのはケロナはその人ですよ」
そう本心で呟く私の事をせせら笑う。
「随分と厚い信頼関係ですね...、ですが人の身でクラール様に勝てるわけがありません、なぜならあの方は【大帝の眷属】なのですから...」
「...、クラールが【大帝の眷属】だとしても私達のケロナは負けませんから」
「...」
「...」
私と彼女はお互いに視線を合わせて互いの考えを否定しあうのでした。




