【赤眼の白豹】④
ズドン!!。
と言う大きな音と共に私と【赤眼の白豹】は地面に叩きつけられた!!。
全身に痛みという名の衝撃が走る中、私はゆっくりと立ち上がる。
よろよろと立ち上がるくらいに満身創痍の状態ですが、これは勝利と言えるでしょう。
下で戦っていた者達からは何があったのか聞かれますが答えている余裕はありません。
「ぐ...ぅぅ...」
流石に血を流しすぎました。
私の死因はきっとそれでしょう。
ゆっくりとこの地に倒れようとした時になってようやくその存在に気がつきました。
「ケロナ姉ちゃん無茶しすぎ...、こんな傷くらいサラが治してあげる」
なんと! ギルドの中に待機しているように言い聞かせたはずのサラがこの場所まで来ていてくれたのです!。
「さ...サラ?」
「し..静かにしてて...、今から回復魔法をかけるから」
すっと目を閉じて呪文を唱える彼女。
すると私の周りに魔法で作られた花が咲き乱れ、一瞬にして傷を全て治してしまった。
この手腕には凄いと言わざるを得ない。
つい1ヶ月前まで魔法の魔の字も知らなかった子供がこれだけの回復魔法を扱えるようになっているのですから...。
私はふっと笑いながら彼女の頭を撫でる。
「助かったサラ...」
「うん! これからもお姉ちゃんが傷ついたら治してあげるからね!」
私達が感傷に浸っていると、空気の読めないやつが体を起こしました。
「あいつ...まだ生きて!」
「姉ちゃん大丈夫!! 今度はサラも一緒に戦うから!!」
そう叫んだサラは私に呪文をかけてくれます。
「傷はもう治ったよ!」
これ以上何をかけてくれるというのか疑問に思っていると、彼女は笑って答えました。
「これは回復魔法じゃない、姉ちゃんの敏捷性を底上げする【付与魔法】!!」
彼女の言う通り【付与魔法】らしく体が軽くなるのを感じます。
「これなら...行ける!!」
私がダッシュで手負いの【赤眼の白豹】に近づき3連打を浴びせる!!。
先程のダメージが効いているのか動きが鈍いのでただの的とかしているのだが、思った以上にタフなせいでなかなか倒れない。
あちらもあちらで必死というわけだ。
だけど私達だって負ける訳にいかない。
ディール達の仇である【赤眼の白豹】だけはこの手で打ちのめしたいのだ!!。
(もう終われ...、終わってくれ!!)
私は祈るように拳を振るい続け、ついにとどめの一撃を決めるのでした。




