サラのレベル
「レベル35!? この歳で!?」
その言葉を聞いてもサラはキョトンとしていたのだが、水晶にはたしかにレベル35と表記されていた。
私もなぜサラレベルが35もあるのか考えてみたのだが、恐らく私がマーカイルを倒した時にサラにも経験値が入っていたのだろう。
その言葉にギルド内がどよめく。
「レベル35!? だとぉ!?」
「あんな小娘が...か?」
などと言われているのだが彼女はあまり気にしていない様子。
しかし、ギルド職員はそのレベルを見た瞬間に次の書類を持ち出してきた。
「おめでとうございます、村娘のレベルを20以上に到達させたので他の職業に転職できますよ」
「転職!!?」
さっきまでよく凄さが分かっていない様でしたが、転職という言葉には興味を惹かれた様です。
「はい、接近職ですと剣士と武闘家、魔法職ですと魔術師と僧侶、後は斥候職である暗殺者と盗賊に狩人、最後に特殊職の芸人と商人ですね」
色々と提示されていたが、サラは一瞬にしてこれを選んだ。
「私、魔術師が良い!! 昔っから箒に乗って飛ぶのが夢だったんだ!」
無邪気な笑顔浮かべながら魔術師を選ぶサラに職員は微笑みかけた。
「どうご自由に、転職するだけでしたら無料ですし気に入らなければいつでも他の職業に転職可能ですのでいつでも話してくださいね」
「うん!」
2人のやりとりが終わるとサラはギルドの奥に連れて行かれ、しばらくすると魔術師となって出てきた。
「お姉ちゃん見てみて〜! サラ魔術師になったんだよ〜!!」
「ほう」
確かに彼女から溢れ出る魔力の質が上昇したような気がする。
「今なら下級の火球が撃てるよ!」
とギルドから配布されたであろう長い木の杖を前に突き出して決めポーズを決めるサラ。
下級の火球とはまた寒いギャグを言ってくるなぁ...、まあ彼女みたいな子供が言う分には可愛いから良いけどね。
と言うわけで一応私も転職できるか聞いてみたのだが、やはりレベル20にならないと転職はできないそうだ。
つまりレベルの上がらない私は一生村娘から転職できないという訳である。
転職できないってこれ、なんてハードモード?。




