出発
「じゃあまずは【城塞都市クレイトン】を目指してしゅっぱ〜つ!!」
とはしゃぐサラに私は言葉をかけた。
「まずはその途中にある村にいくつか寄ってからね、急ぐこともないしその時々に仕事を見つけながらゆっくりと進んでいけばいいさ」
「うん! 分かった、けどスラナ村から街道を1時間くらい歩き続けてるけど近場の村すら見当たらないね」
彼女の言う通り、私たちはスラナ村から1時間ほど歩き続けているのだが未だに人っ子1人見つかってはいない。
「まあ、スラナ村自体が辺境の村だって事は知ってたけど、まさかこれほどまでに他の村々と離れているとは思わなかったな」
そりゃあ他の村との交易だって月1程度の比率になるわなと今にして感じる事もある。
「サラはそろそろ疲れてないか?」
私はそう聞いたのだが彼女はブンブンと首を横に振った。
「ううん! お外の世界新鮮で楽しいからまだまだ大丈夫だよ!」
何もない平坦な道を歩いているだけだと言うのにこのはしゃぎ様...、本当に外に出た事がないんだな。
と言うかこの元気さを見ている限り、サラは子供のわりに体力がある方だと思う。
この年の子供なら普通は一時間も歩けないからだ。
しかし彼女は疲れるどころかケロッとした顔で走り回っている。
まあ、彼女が元気な娘である事は百も承知な事実ではあるのだが、やはり気を配るべきであろう。
そうこうしていると最初の村が見えてきたので再びはしゃぐ彼女。
「あっ! お姉ちゃん! 最初の村が見えてきたよ!」
「ああ、あそこが最初の目的地であるミジカ村に違いない、あそこで馬車を借りて3日ほど進めば【城塞都市クレイトン】に着く」
初めて違う村に着いた私たちは急いで馬車を拝借しに向かうのでした。




