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彼女の想い

 宿屋で一夜を明かして次なる旅路に出ようかと思い出した頃...。


 私達に会いたいと言う人が部屋に入ってきました。


 それは勿論...。


「エリーゼ?」


 でした。


 彼女は私の顔を見てほっとしたように一息つきます。


「よかった、ケロナお姉様がもうこの町から出て行ってしまわれたのではないかとと心配していましたから...」


 そう言いながら用件を述べる彼女。


 いろいろ話していたが結局の所、重要なのはこの部分だろう。


「お願いです、私と共にこの町に滞在し教師としてこれからも色々と教えてください、勿論給料ははずみます」


「はいっ?」


 彼女の話を聞けば聞くほど悪い条件ではない事がわかるのだが、私は首を横に振り続ける。


「何故ですか? どうしてここまでの条件を出しても私の()にいてくださらないのですか?」


 彼女の表情から読みとれる感情は焦りと不安だ。


「悪いなエリーゼ、私は冒険者だ、パーティのリーダーとしてサラとレイナも食わせて行かなくちゃならない、金になりそうな仕事が無くなった以上ここにとどまる必要はないんだよ」


 そうやって話を流そうとすればするほど、彼女の表情は険しい物に変わっていく...。


「分かりました! ではお父様に頼み込んでサラさんとレイナさんも私の家庭教師として雇って貰えるように頼んでみます!」


 彼女の目は本気だったが、多分失敗に終わるだろう。


 なぜなら、家庭教師など3人もいらないし、もう優秀な教師が彼女にはついていると思うからだ。


 そもそも冒険者の教師などエリーゼの父さんが雇うはずがない。


 そんな雰囲気が実際に【シュライン】公爵と対面していた時にとても充満していたからである。


 娘を大切に思うあまり、私達のような野蛮な冒険者などとエリーゼを同じパーティにしたくないと言う本心がみえみえだったのを今でもよ〜く思い出せます。


 しかし、今の彼女の発言にはそれよりも気に食わない部分があったので、私はそこを突いてみる事にするのでした。

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