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エリーゼの両親

 私達がダンジョンから脱出すると、何故か入口にエリーゼの両親達が出張っていました。


「お父様! お母様! なぜこんな所に!?」


「おおっ! エリーゼ!!」


 エリーゼの両親が血まみれになっている彼女に抱きついて離れない。


「こんなに汚れて...、さぞかし怖かっただろう! ささっ! もうお家に帰っておいで、そしてもうこんな危険なことはやめるんだ」


 そう言いながら連れて行かれそうになるのをエリーゼは振り払った。


「エリーゼ?」


 両親が彼女の事を見ている中、彼女はこう叫んだ。


「お父様もお母様も私の事なんにも理解してない!! 私は怖かったなんて言ってないし、まだダンジョンの攻略は終わってない! だからまだダンジョン攻略をやめる気はないの!!」


 娘の心からの叫びに両親は戸惑っていた。


 そんな中に部外者である私が入るのもおかしい話だが、ここはエリーゼに助け舟を出しておこう。


「親子の関係に対して私が言うのもアレですが、娘さんには冒険者としての資質は充分にあります、このダンジョンもしばらく時間をかければきっと攻略できるでしょう、なのでここは私を信じて娘さんを預からせていただけないでしょうか?」


「ケロナお姉様...!」


 エリーゼの視線が私に注がれる。


 その時の彼女の表情はとんでもなく嬉しそうだったのを今でも覚えている...。


「確かにお二方の言う通り冒険者と言う職業はとても危険な仕事ではあります、ですが彼女自身がその道を自分で選択して進みたいと言うのであれば親として笑顔で送り出すと言うのも一つの選択肢なのではないでしょうか?」


 私の言葉に黙り込むエリーゼの両親。


「お父様、お母様、エリーゼはこのダンジョンを踏破したいと心の底から思っています、他ならぬケロナお姉様と一緒に...!」


 私の手を握りしめながらそう宣言するエリーゼを見た両親は数秒間考えた後で答えを出した。


「...このダンジョンの攻略が終わるまでだ、それまでは危険な仕事をする事にも目を瞑ろう、ケロナさん、娘をお願いします」


 その答えにエリーゼは飛び跳ねながら喜ぶ。


「お父様! ありがとうございます!」


 飛び跳ねた後はきちんと頭を下げながらお礼を言う彼女は少しだけ大人の階段を登ったような気がする私なのでした。

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