【シュライン】のダンジョン③
余りにも酷いエリーゼの行動の数々に対して腹がたった私は思わず口を出してしまった。
「えっ...?」
キョトンとする彼女の肩を握りしめながら私は真剣に言葉を並べた。
「エリーゼ、貴方が今日初めてダンジョンに挑んでいるのは分かっている、だけど...、仲間を危険に晒しすぎだ、自分のミスで自分が死ぬのはいいけど私達を巻き込むな、いくら仕事とはいえこれ以上私たちの指示が聞けないのなら不本意だけど貴方を置いていくしかない」
「置いていくって...、どういう事?」
「言ったままの意味、このダンジョンに置いていくって事」
少し厳しいか? いや、これくらい言わないとエリーゼは聞いてくれないだろう。
ここは地上の世界のように金の力でどうにかなる世界ではない事をちゃんと教えないといけないと思ったからこそ私は言っているのだ。
勿論、ここまで言って聞かない程の馬鹿なら私は彼女を見捨てることも厭わない。
何故なら、私は本当に彼女を見捨てる気で言っているのだから...。
私の表情を見て嘘を言っている訳ではないと悟ったのか彼女は大人しくなった。
「...ごめんなさい、私も役に立っているんだって皆に示したかったからつい先走っちゃった」
そしてそう静かに声をあげる彼女を見て抱きしめる私。
「大丈夫、ミスは誰にでもあるから、ミスをしてもそこから這い上がろうとする意思さえあれば人はいくらでも成長できる、エリーゼは今日少し成長したんだよ...」
私の言葉を聞いた彼女はゆっくりと首を縦に振っていた。
「うん...」




