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エリーゼ

 ふふんと偉そうに腕を組んでいる金髪の少女を苦虫を潰したような目で見つめてしまう私。


 それが気に障ったのか私に人差し指を突きつけて偉そうにしてくる。


「青髪の貴方!! 何よその顔は! このエリーゼ様の護衛につけるのよ! 少しは嬉しそうにしなさい!」


 そんな様子の娘を両親は心配そうに見つめていました。


「エリーゼ、やはり未探索のダンジョンに行くのは危険だよ、いくら冒険者としての貫禄が欲しいとねだられても当家を継ぐお前の身に何かあったら...」


「父さんは黙ってて! 今日の為にお稽古も勉強もしてきたんだから大丈夫!! 魔物も数匹倒したことがあるし、私ももうレベル40の【聖騎士】なんだから大丈夫だって!」


【聖騎士】と聞いて近くにいたレイナは顔をしかめる。


 そして限りなく小さな声で私にこう呟いた。


「【聖騎士】って言う職業はですね、一見上級職の中でもトップクラスの性能を誇る職業なのですが、こう言う金持ちが金の力でなりたいランキング1位の職業なんですよね」


 と嫌味気に伝えてくれる。


 確かに、このエリーゼと言う少女からはレベル40の迫力や経験は感じられない。


 もうボンボンのお嬢様と言う感じがモロに漂っている。


「恐らくですが護衛の方が魔物を弱らせ、彼女はラストアタックをしているだけでレベル40までの経験値を獲得したのでしょうね...」


 そう苦笑する彼女を見ていると、なんとなく私も察してしまう。


 というかこの流れはまずい...。


「では皆さん、エリーゼの事を頼みましたよ、なるべく大きな怪我をさせないようにしてくださいね...」


(やっぱりか...!)


 まさかの足手まといをパーティに入れるハメになるとは...、これはついていない。


 すると再び小さな声で彼女が付け足してきた。


「一応他にも新しくできたダンジョンの依頼書を探したんですけど、どうやらこの家系が新ダンジョンの買い占めを行ったらしく、この家系に許可を取らないと挑むこともできないそうです、おおかたこの娘さんがさっき言った通り未探索の高難易度ダンジョンを攻略して名声が欲しいのでしょうがこちらとしては迷惑極まりないですね」


 彼女の話を聞いているとそうだよなと賛同せずにはいられない。


 冒険者業は命懸けの仕事だ。


 金持ちの道楽でやっていい仕事ではない。


 しかし、それに付き合わないとダンジョンの調査ができないと言うのなら仕方がないだろう。


 今だけは付き合ってやるかと、マイナスな気持ちのままダンジョンへと向かうのでした。

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