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ヒツジの銅像

 私達はヒツジの銅像があるという高台にやってきました。


「へぇ、これがこの町の観光スポットかぁ」


「おっきいねぇ!」


 サラの言う通りなかなかの大きさだ。


 全長4メートルはある巨体にはどことなく雄大さを感じる。


 この町を発展させたのはヒツジの素材らしく、この町を歩けば右を見ても左を見ても確実にヒツジに関連した店があるのもそれを裏付ける証拠だろう。


 私達が大きなヒツジの銅像に目を奪われていると、レイナが辺りを警戒し始めていた。


「ねぇケロナ、気がついてる?」


「ええ、勿論」


 サラには気がつかせないように小声で呟くのには理由がある。


 せっかくの休日を邪魔されては堪らないからだ。


「どうしたの? ケロナお姉ちゃん」


「へっ? いや何でもないよ、ちょっとトイレに行きたくなっちゃったから行ってくるね、レイナにサラを任せます」


「ええ、私が見ておきましょう」


「...変なお姉ちゃん」


 そう妹に言われながらもこの場を去る私。


 しばらく歩いて裏路地に立つと明らかに冒険者っぽい男達に囲まれた。


「ヘッヘッへッ...」


 舌を出して私の事を眺めてくる表情はガーディンに似ている。


「朝からつけ回して...私に何かよう?」


 そう聞いてみると、体格のいい男はこう呟いた。


「決まってんだろ? お前達がやっているギルドでの不正を暴いてやるんだよ」


「ギルドでの不正? なんの事?」


 ギルドで不正を働いた事など、全く身に覚えがない。


「とぼけるな!! お前達のような娘3人組がワイバーンなんて倒せる訳ないだろうが!!」


「はい...?」


 そこまで聞くと何故彼らが私達の事を不正呼ばわりしたのか理解できました。


 こう言う輩は一度黙らせてしまえば後は意気消沈するだけと相場は決まっているのでちゃっちゃと片付けましょう。


「そこまで言うのならかかってきなさい、ワイバーンを倒せるだけの実力が私に備わっていればいいんでしょ?」


「ふっヘッヘッ...、そうこなくっちゃな!」


 私の煽りにまんまと引っかかったのには笑えますね。


 私は身構えながらさっさと終わらせることだけを考えるのでした。

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