月
皆がすやすやと眠る中、私は夜が明けるのを待っていた...。
「今夜は月が綺麗ね...」
こうして月を見ていると1人で佇んでいても寂しくない様に感じる。
しばらくそうしていると【魔女】のレイナが私に声をかけてきた。
「眠れないの?」
「レイナ...」
彼女の名前を呟くと私の隣に座り込みました。
「ケロナとは出会ってまだ間もないけれど話したい事があるのなら他人に聞かせてみるのも一つの手ですよ?」
「...」
同じ月を見上げながら私の考えを彼女に伝えます。
「レイナ...、サラを...妹を一人前の【魔女】に育てて欲しい」
その言葉に彼女はキョトンとしていました。
「さっきの話を聞いていなかったんですか? 大丈夫です、私がいればどんな子でも一人前の【魔女】にして見せますよ」
どんっと胸を張る彼女に私は微笑む。
「ありがとう」
と言いつつも不思議な感じがした。
(まだ【洗脳】状態ではない貴女の力も知らないのになんでこんな事を他人に頼んでしまうだろうか...)
そう思っていると彼女はこうも付け加えました。
「お礼なんていいですよ、助けてくれたお礼として当然の事をしているだけですから、ケロナとサラには大きな借りを作ってしまっていますからね」
ウィンクをしながら私にそう返してくる【魔女】の素顔はとても明るく綺麗に見える。
「ああっ、明日から頼む、サラは我慢強い子だからきっといい【魔女】に育つ」
私はレイナの顔を見ながら一人前になったサラの姿を夜空に思い浮かべるのでした。




